真野ちゃんたちとデート ①
駅前の広場の前。
私は待っている。誰を? 真野ちゃんを。珠洲と一緒に待っていた。普段はしないメイクを頑張ってしてきたよ。いやぁ、苦戦した苦戦した。
「気合い入ってるね……」
「真野ちゃんですから」
ふふんと余裕な笑みを浮かべてるけど結構心の余裕はない。むしろさっきから気分が最高潮でマジぱなくて気分上々気温上昇!
やばい。何がやばいかって言うと私が何を言っているかわからないってのがやばい。
「おーい」
「ん」
と、二人が姿を現した。
真野ちゃんと真綾。二人の私服姿はとても可愛くて……。私如きじゃ到底追い付かないような感じの服。さすがは真野ちゃん……。尊い。
「やっほー。美咲ちゃん、珠洲ちゃん」
「おはようございます!」
「……おはよう」
真綾はあくびしている。眠そうだ。
「真綾は眠いの?」
「ああ、真綾ちゃん朝弱いんだよ。いつもなら今の時間寝てるもんね」
「…………」
朝の九時寝てる時間なの? 私は余裕で起きてるけど……。
「さてさて、上映時間までちょっと時間あるしそれまでなにかしようよ。ショッピングでもしよっか」
「はい!」
ショッピングモール。
衣服の店、雑貨の店などがあった。特に買うものもないのか歩き回って店を見るだけとなっている。芸能人二人を連れているために結構注目されている。変装していないからなぁ。
「あれ生出 真野じゃね?」「モデルの真綾にそっくり……」「あれ、真綾ちゃんだ!」「真野ちゃんマジ?」などじろじろと視線を感じている。
真野ちゃんは慣れてるのか気にしてないみたいだ。
「アイスでも食べよっか」
中にあるアイス屋さんでアイスを購入する。
私はチョコミント。真綾はベルギーチョコで真野ちゃんはストロベリーで珠洲はオレンジ。チョコミント美味い。
「チョコミントって美味しいの?」
「美味しいよ」
「へぇ。歯磨き粉っぽくない?」
…………。
「珠洲。それチョコミン党の人敵に回す発言だよ」
「え」
「珠洲ちゃん。チョコミントは美味しいんだよ? 歯磨き粉なんかじゃないの。わかる?」
真野ちゃんの説教。珠洲にこうかはばつぐんだ。
「……うまっ」
一人黙々と真綾はアイスを食べていた。
ベルギーチョコって少しビターだけど美味しい。
「真綾一口貰えたりする?」
「いいよ。チョコミントも一口くれるなら」
「やった!」
私は真綾のベルギーチョコを食べる。うん、ちょっぴりビターなのが絶妙。美味い。
「……チョコミントもなかなかいける」
「でしょ?」
「わかる気がする」
真綾はいつも通り無表情だけどどこか嬉しそうだった。