王たちへの下克上 ⑥
朝を迎えた――
チリン達がいる。
「おはよぅ……」
チリン達は何も言わない。
ただ、なんかHPが減っている。なんかあったんだろうか。とりあえず回復っと。
「くぅ……痛かった。ありがとミキ」
「痛覚設定オンにしてるんだ」
「もちろん。そっちのほうがリアルっぽいしょ」
多少軽減はされるもののハンマーとかの攻撃受けたらものすごく痛くないのかな。私は痛いの嫌いだしオフにしてる。というか大半はそうじゃないかな。Mの人だとかそういう人はするかもしれないけど……。
チリンって、もしかして……。
「言っておくけどマゾヒストじゃないから。付き合い長いんだからわかるでしょ……」
「いや、知らないうちに新たな性癖に目覚めてるのかと……」
「目覚めてないから。これはリアルを追求した結果だよ。ほら、痛くないとリアルっていえないし、痛いの嫌だって思うとあまりダメージ受けたくないじゃん?」
それは、わかるけど。
痛いの嫌だと基本的に防御上げようとかなるよね。でも私は痛いの嫌だなぁ。剣で斬られたら軽減されるとはいえ痛いんでしょう?
「ミキは未来見えてるかのように避けるけど……」
「ミキちゃんってすごいよね」
「い、いやぁ、それほどでも」
「超能力者か何か?」
いや、未来予知とかそういうのできないけど……。
それに予知できるんなら今頃何かしてるわ。たとえば……。今日のお夕飯をお先に予知するとか? 使い方としては非常にくだらないけど……。
「ミキの反射神経って人外だよ。結構ミキって天才肌だからなんでもそつなくこなすし」
「へぇ。ミキちゃんって恵まれてるんだねぇ」
「いやぁ」
恵まれているのは自分だけだけどね。人間関係は…うん。
「ミキちゃんの小さいころの話聞きたいな」
「なら――」
「討ち取ったりィィィ!」
と、背後から剣で斬りつけられる。
それを躱し魔法を放った。ふぅ。朝っぱらから奇襲ですか。疲れないの?
「そういうとこだよミキ……。普通今の奇襲驚いてなにもできないって」
「驚かないの?」
「いや、普通に驚くけど……」
「なのに動けるんだ……。ほんとすごい……」
え、普通、じゃないの?
いや、私は化け物並みだとは自覚しているけどそこまで? 状況判断とか大事だし驚いて硬直してる時間がもったいないし……。
それにそうやすやすと死にたくないし。
「天性の才能にはやっぱ敵わないなぁ」
「いやいや、私なんか……」
「ミキちゃんってすごいね」
「ありがとうございます!!!」
褒められると悪い気はしないね! この調子でどんどんプレイヤーを殲滅していこうか!