王たちへの下克上 ④
夜を迎える――
夜は襲撃が少なくなっていた。あるにはあるけれどね。みんな眠って休息を取るんだろう。だがしかし私たちは眠れない。
いつ襲ってくるかわからない恐怖があるからね。
結構王たちへの挑戦状だよなぁ。精神的につかれるイベントだよね。
「眠ったら体力回復できるし疲れも少し取れるのに」
眠ったら死ぬかもしれない。
さすがに眠って戦うことは不可能なんで寝ないで頑張ろうと思います。
「だれかきたな」
ミカエルがいたはずだけど突破してきたのか。
強い人だろう。私は身構えると、扉が開かれた。
「やっほー、ミキちゃん」
「そ、ソゥ様!」
なんとチリンとソゥだった。
「ソゥ様私を倒すのならどうぞ!」
ソゥが来た理由は私を倒すためだと思う。
真野ちゃんのためになるならば命は惜しくあるまい。真野ちゃんの役に立てるんなら、私はそれで……。
「違うよ……。ミキのことだから寝ないんじゃないかなって。話し相手にね」
「ありがたき幸せ!」
こんな有象無象如きの存在に神が手を差し伸べてくれるとは……!
神様信じる。ありがとう。
「さっきまでニルのとこにいて最後にミキのところに来たんだよ」
「へぇ。ニルたちは元気よくやってた?」
「やってたよ。アーサー、ランスロット、ルシファー、ベルゼブブもなかなか働いてるね」
「ならよかった」
ぜひともニルたちがどうしてたか聞きたいものだ。
「ミキちゃんが知りたがっているであろう他のみんなの情報を教えよう。ニルくんはね、竜を従えて軍隊を作ってたよ。もう統率取れてて厄介だったね」
「ベルゼブブが来なかったら死んでたよ」
へぇ。ニルは真面目に教育して軍隊みたくしたんだ。
それはそれで統率が崩れた瞬間一気に弱くなる欠点があると思うけど大丈夫だろうか。心配点はあるが口出しはあまりしないようにしよう。
「次にマシュマロ。機動要塞っていう名前だけあって入るのに苦労したよ」
「あれもう命がけだよね。王の挑戦で一番道中が難しかったかな」
へぇ。機動要塞っていうだけあって動くんだね。
「ランスロットの守りも相当やばかったよ」
「続いてマグダッドだけど、軽くホラーだったね。薄暗くて月明かりしかない館の中。私たちはライトの魔法を頼りに進むも数々の怪奇現象が……」
耳を塞ぐ。
ホラー無理だって知ってるのに話す! 性格悪いよチリン!
「マグダッドは私たちを見ると戦闘態勢をやめて椅子を用意してくれたよ」
「本人も作ってると楽しくなってきて無駄に内装に凝ったらしい」
あるある。やりだすと楽しくなることね。
「マーヤは無難だったね。むしろ自分のために余計なもの棄ててる感じがしたね」
「余計なもの?」
「建物だったりいろいろと」
壊したのか……。
ルシファーにでも手伝ってもらったんだろうな。
「で、最後にミキなんだけど……。なんかおとぎ話のお城って感じがするね」
「そうなの。私もよく全貌知らないんだ」
「なら探検でもする?」
「します!」
真野ちゃんと一緒なら!