王たちへの下克上 ③
ゲーム内で夕方を迎える。
この世界で七日間防衛してポイントを稼ぐ。夜になるとその日の結果が発表されたりする。もうそろそろ結果発表の時間だろう。
「ミキ様! 逃げろ!」
と、ミカエルが勢いよく入ってきたかと思うとミカエルが倒れてしまった。
何事だ?
扉の奥から誰かが歩いてくる。
女性……。身長が高い。おっぱいもある。おっぱいも……ある。
「ふふ、倒しに来たわぁ」
「ふぅん。なかなか強そう……」
その時だった。
何かがこすられる音がした。空気がこすれたような音。思わず一歩後ずさる。
「……今の躱す?」
「直感で動いたけどやっぱなにかしてきたんだな!」
ただ今の攻撃見えなかった。
見えないと私躱せないから直感でやるしかないわけか。どういう原理かわかんないけどさ。どうやら一筋縄ではいかせてもらえないよね。
「目に見えない攻撃。チート使ってるんじゃないかと思うけどチートならこんなあからさまに使うわけじゃない。なにかいるな」
考えられる可能性は一つ。
誰かがいる。目の前の女性だけじゃない。もしかしたら私たちには見えないってだけで戦闘しているんじゃないだろうか。
ならば……。
「霊体化」
はい。一応弱点を隠しておく。目の前の女性は何考えているかわからない。というか、なんで見えない攻撃ができるんだろう。
次はどこにいる?
「そこだ!」
適当に魔法を放つと「きゅう」という声が聞こえた。
美人な女性がそこに倒れていたのだった。剣をもっているのをみて騎士だろうか。ただ騎士にしては装備が軽装すぎる。
魔法戦士って感じだな。
鑑定してみると賢者マーリンっていう文字が出た。
マーリンね……。
「マーリン!?」
「まさか英雄が一発でやられるなんて……!」
「英雄!?」
マーリンといえば円卓の騎士の魔術師。てっきり魔法使いって思ってたけど剣も使えるのか。いや、周りが剣を使ってるし覚えたんだろうか。
どちらにせよ偶然ヒットしたのは幸運だといえるし、今回ばかりは直感と幸運に助けられたよ。
「まぁ。残りはあなただけだね」
「ひっ……」
どうやらこの女性はマーリンだけが奥の手だったみたいだ。
マーリンが倒れた以上、どうすることもできない。私はとりあえずミカエルに回復魔法をかけてそして精霊魔法で目の前の女性に攻撃。
ポイントが10増えていた。
そういえば、このイベントでNPC死んでも生き返るのかな。これで死んだままですってなったらくそすぎると思うけど……。
私の魔法受けて生きてましたってこと、まずないと思うんだよね。よほどの抵抗力がなければ。私って魔力がずば抜けてるし……。物理はほんとからっきしだけど。
……ま、なんとかしてくれるよね運営が。