特別版:ハロウィーン
「「トリックオアトリート!!」」
「は?」
目の前には地衣と珠洲がいた。
珠洲は包帯をぐるぐる巻きにして、地衣は猫のヘアバンド。え、なにこれ。トリックオアトリート? なんかの呪文? 魔法の呪文か?
とりあえず……。
「中、はいる?」
「えっ」
「お菓子くれないの?」
「え、おかしならうちにいくらでもあるし食べてけばいいんじゃ……」
「「ハロウィン知らないの!?」」
え? 今日そんな日だっけ?
10月31日。あ、ほんとだ。ハロウィンだ。時間間隔がおかしい。まったく。ハロウィンだって知らないから何も用意してないぞ。
「まぁ。お菓子あげるから待ってて」
「気前いい」
「ふふん。美咲? どっちにしろいたずらするよ?」
「えぇ……意味なくない?」」
トリックオアトリックじゃないか。実質一択だろ……。
「じゃーん! ミキにも仮装してもらいまーす!」
「あ、そう……で、何の仮装?」
「ふふん。これ!」
だしてきたのは黒いマントと八重歯になれるやつとカラーコンタクト。カラコンは赤でそれをいれろということらしい。
黒いマントを羽織り、カラーコンタクトを入れる。八重歯のやつも口に装着した。
「ヴァンパイア!」
「可愛いな!」
地衣と珠洲が写真を撮っている。
吸血鬼……。マグダッドだな。なんか血を求めるためにとかやるのかな? あ、ヴァンパイアっぽさをだすためのいいやつがある!
お父さんのワイングラスと冷蔵庫のトマトジュースで……。
「血!」
「おお! ヴァンパイアっぽい!」
「でしょ?」
昨日美鈴がトマトジュースを買ってきたからね。
お姉ちゃんにもあげるって言われたからありがたく。トマトは健康にいいらしい。生の新鮮トマトの丸かじりは美味しいぞ~。
おばあちゃんちで食べるんだよく。おばあちゃん家庭菜園が趣味だからさ。
おばあちゃんちのトマト甘いのなんの。
「よし! じゃあ誰かの家にいこう!」
と意気込んだその時だった。
ピンポーン
インターホンが鳴る。
はーいといってドアを開けると。
「トリックオアトリート~」
「お、お菓子くれなきゃいたずらするぞ……」
真野ちゃんと真綾がいた。
はは、死にそう。え? ハロウィン最高すぎね? え、ええ、真野ちゃん可愛すぎかよ! 血のりつけてゾンビかな? 可愛いなぁ!
真綾は金髪のかつらをかぶってる。メリーさんかな?いいよねメリーさん。
「……ミキの家って案外普通だね」
「そこがいいんでしょ! ほら、美咲ちゃんいたずらしちゃうぞ~?」
「ぜひ」
いたずらしてくださいな!!