昔の思ひ出
放課後の教室。
私は一人眠っていた。机に突っ伏しながら。異様なほど眠く家に帰れそうにないからひと眠りしてから行こうと思った。
『お前ひとりで掃除してろよ!』
『あん? 当番なんて知るかよボケ!』
放課後の学校にはいい思い出はない。
いつもいじめられてばかりだったし、掃除を押し付けられて一人で掃除していたときもあった。珠洲以外庇ってくれる人はいなかったなぁ。
チィは高校からの出会いだし中学にはいなかった。
ほんと……この静かな放課後は嫌いだ。
☆ ★ ☆ ★
授業が終わり、帰りのホームルームが終わる。
みんな掃除をするために机を下げ、そして掃除分担場所に向かった。私は今週は教室。ロッカーから箒を取り出し床をはいた。
「先生用事あるからお前らでやっとけな」
先生はいつものように教室から出ていった。
「うし、広瀬やっとけよー!」
「いこうぜ!」
「いこ」
「うん」
……みんな私に任せていく。
一人で床をはいて一人で床を拭く。黒板掃除も一人でこなしていた。やらないと、また殴られるから。なんでやらないんだよって……いわれるから。
教室には私一人しかいなくて、静かだった。
黒板消しクリーナーの音だけが響き渡る。
廊下も静かだった。
「…………」
私は文句を言わないようにした。
逆らったら痛い目を見る。殴られるから。みんな怖い。みんな私を苛めるんだ。
掃除がひと段落して先生に報告しに行った。
「わかった。あ、広瀬。これ、やっといてくれるかな?」
と渡されたのは夏休みの宿題。
ホッチキスも一緒に渡された。留めろということらしい。拒否はせず受け取る。担任は楽がしたいだけだ。私がいじめられているのを黙認する。クズだクズだクズだ……。
私の心はどんどん閉ざされていった。
教室に戻り椅子に座る。
宿題を纏めホチキスで留めてまたその作業を繰り返し。
先生は今頃職員室でコーヒーでも啜ってるんだろうな。みんなは家でゲームとかしてるんだろうな。なんで私だけこんなことやらされなくちゃならないんだ。
一人で掃除して、一人でこれやらされて……。私はみんなの召使なんかじゃないのに。
「……泣いちゃだめだ」
涙がこぼれてくる。
涙をぬぐい作業を続けることにした。
そして最後の一枚が完成する。
窓の外は日が落ちかけていた。時間を見ると五時。帰宅部が帰る時間帯じゃない。私は一人夕暮れの中を歩いて帰っていった。
「死にたい」
もう、みんなが嫌だ。
嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ……。なんで私だけこんな目に合うの? 私が弱いから? 私が不細工だから? ふざけないでよ。
『死ね!』
『目障りなんだよ!』
……いいよ。
じゃあ、お望み通りまた死んでやる。
私は橋の上に上る。
そして、下を見回した。川が流れている。昨日は大雨だったから、川の水は増えている。溺死は苦しいって聞くけれど、死ぬんならいいや。今もどうせそんな変わんない。
「……美鈴。お母さん、お父さん。珠洲。ごめん」
私は、身を放り出した。
☆ ★ ☆ ★
「ひゃあっ!?」
起き上がると教室にいた。
ゆ、夢? 昔の夢だ。二回目の自殺を図ったときのことだな。まったく、嫌なことを思い出したもんだ…。
時計を見ると五時。
あの時と同じじゃんか……。
「まったく、昨日夜更かししたから眠くなったんだ」
第七回イベントのことを眺めてたら、つい寝るのが遅くなったんだ……。
思いつかなかったわけじゃない。
夜更かししたってことだぞ? ミキは遅くまで読んでたんだ……。
すいません、言い訳がすぎました。
はい。そんな感じで逃れようとしました。すいません。でも、この話は入れようと思っていた内容なんで……。そんなに責めないでね……?
PS.今日はハロウィンですね。