クエストクリア
とりあえず希望の大蜘蛛は天界で引き取ってもらうことになった。
アルテナ様が大層気に入ったらしく吐き出してもらう糸で服を作ってそれを毎日着ているらしい。可愛らしいところがあるな。
で、グィネヴィアは私が保護。夫ランスロットと一緒に過ごしている。
「うふふ、これでも敬虔な光神教徒なんですよぅ」
と、ネックレスを見せてきた。十字架のネックレス。
グィネヴィアは優しそうな微笑みを向けてくる。浄化されるなこの笑顔。可愛いし。こんな可愛い妻をもってランスロットはさぞ嬉しいだろうに。
「グィネヴィア。今日も君は可愛いよ」
「やだ、ランスロット様ったら」
あーあー。幸せそうだなぁ。
「あ、そうそう。私回復魔法と蘇生魔法が使えますのでミキ様。よろしくお願いしますね」
「あーそうな……んだ!? まって、蘇生魔法!?」
「え? あ、はい。なんか使えるんですよ! 人間には使えないって司祭様から聞いたんですけど使えちゃったんですぅ」
えぇ……。使えちゃったって。
蘇生魔法は一般人には使用不可能とされていたしプレイヤーでもまず覚えることは無理だったはずだ。私は生命の主神になってできるようになったけどさ。
でも、なかなかレアじゃないか? 特別ってことでしょグィネヴィアは。
「グィネヴィアは円卓の騎士の治癒係だったからな。死んでまもなくなら蘇生ができたが……。そうか、普通は不可能なのか」
「アーサー知らなかったの!?」
「てっきり治癒術師なら使えると思っていたからな。グィネヴィアしか治癒術師を知らなかったのもあるが」
……グィネヴィアは普通だって思い込んでいたのか……。
「まぁ、死んで十分以内ですけどね。死んでしまったガヴェインさんなどはもう蘇生は不可能なんです」
「……俺の失態だ。あとで供養にいく。ただ、殺した俺とは会いたくなさそうだけれどな……」
「気に病むな。ガヴェインは自分が死んだことより弟たちを殺された方の恨みが強いだろう。もし供養に行くなら先に弟のほうに行くことをおすすめする」
「アーサー王……」
「戦争をする以上死ぬ覚悟は誰だって持たなければならないんだ。こういうのも不謹慎だと思うが”仕方ない”と割り切ることも大事だぞ」
「戦争をする以上誰かが死ぬことは確実なのですから。血を流さないで解決する戦争はありませんよ」
グィネヴィアとアーサーはランスロットを慰める。
ランスロットは、涙を流していた自分の頬を叩いた。
「その通りです。見苦しいところをお見せしました」
ランスロットは頭を下げた。
「今日の王都の新聞で修道院が載ってる!修道院壊滅……。神の意思に反し王様もご立腹。シスター全員を処刑……」
隣ではガブリエルが新聞を読んでいた。
このゲームで新聞あるんだ。そういえば新聞社らしきものはあったからあるんじゃないかと思ってたけどね。ただ届けてくれるシステムはなく自分で買う。
たまーにだけど重要な情報も載っているらしい。
「司祭様もお怒りになってるでしょうねぇ。アルテナ様を裏切った背教者として広められてることでしょう」
「結局あの修道院はなくなってどうなるんだ?」
「とりあえず中に収容されていた人は違う修道院に移されるらしいですよ? グィネヴィアは解放する方針だそうです。アーサー王に免じて」
「私にか?」
「まぁ。グィネヴィアが入れられた理由がアーサー王がランスロットにより殺されたという情報でいれられてましたしアーサー王が生きていてランスロットと仲良くしている以上罪がないってことですよ。さらに王が無罪の罪でいれていたことを詫びて謝礼金をだすそうですねぇ。あ、ちなみに受け取っておきました。どうぞ」
仕事早い!?
私はお金を受け取る。一千万を軽く出してきたぞ? アーサー王効果か? アーサー王効果なのか?
「まぁ、このお金はグィネヴィアのものだろうしグィネヴィア……」
「ふふ、いりませんわ。私はランスロットがいればそれで充分なのです」
「俺もいらないな。受け取る資格がない」
「私もいらないな。私はミキと共にいることで充分だ」
え、三人ともいらないの?
「それはミキが受け取るといいさ。私たちはいらないからな」
「え、いいの?」
「ああ」
三人が頷いた。
《クエスト:グィネヴィアには明日がない をクリアしました》
一千万。手に入れました。