絶望から生まれ絶望に生き絶望に死んでいく絶望 ③
多分初めてこのゲームで負ける予感がしていると思う。
目の前の蜘蛛は強い。私の力を封じるほど賢さもあるし、実際に封じられている。勝てるわけがない。回避に専念しても私自身攻撃する術がないために。
『今オマエラは死ぬ絶望を感じているだろう? ははは、絶望こそ至高だよなァ! 生きるだけでも希望を感じてるもんな!』
どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。
『まあいい! 私の御託は此処までだ! 死んでいけ! 神よ! 私は神を殺した背徳者として絶望を感じながら生きていくさ!』
私に向かって足を振り下ろす。
回避しようとしたが、気が付かないうちに蜘蛛の巣に引っかかって抜け出せなかった。避けれない……! し、死ぬ……!
私は目をつむった。
だが、死んだという感覚はなく、むしろ、まだ生きている心地がした。
恐る恐る目をあけるとルシファーとベルゼブブが蜘蛛の足を止めていた。
「貴様……! 神を殺そうと企てた罪は重いぞ……!」
「絶望か。我みたいな悪魔には無縁なものだな」
か、かっこいい!
「ベルゼブブ。どこまでやれる?」
「どこまで食えるかってことか?」
「ああ」
「絶望の力からするに十分の九くらいだろう。絶望が多すぎるからな」
「十分だ。食べろ!」
「わかっている」
ベルゼブブは蜘蛛の上にのっかった。
そして、蜘蛛が突然暴れだす。
『絶望が抜けていく! やめろォォォ!!』
「ふん。上の奴だけ気にしていていいのか?」
ルシファーが剣で足を切り裂いた。
蜘蛛の足が地面に落ちる。
「ナニヲォォォ!」
「口ほどでもない。消えろ」
そして、蜘蛛は呆気なくやられていった。
アーサーは地面に座る。
「くそ! 私が苦戦したのをいともたやすく!」
「たやすくはない。ベルゼブブがいたからこそだ」
まぁ、力を減らしてくれたからな。
暴食というだけあり相手の絶望でも食べていたんじゃないだろうか。雑食なベルゼブブさんだ。でもよかったよ。助かった。
負けるかと思った。
「……グィネヴィア。さあいこう。外に」
「は、はい! ランスロット様!」
グィネヴィアはランスロットの手を取り、立ち上がる。
ランスロットは顔を赤らめそっぽ向いていた。恥ずかしいのだろうか。
「さすがは私の最愛の旦那様です! 助けてくれると思っていました!」
「……だいぶ遅くなったがな」
「時間なんてさほどの問題じゃありませんよ」
グィネヴィアは優しいなぁ。あんな目に遭ったとも知らずまだランスロットを慕っている。あの事故は単なる不運であり、まきこまれただけ。
ついてない人だ……。




