絶望から生まれ絶望に生き絶望に死んでいく絶望 ②
まずいまずいまずい!
どうすんのこれ! 私史上最大最悪の出来事なんだけど!? どうしたらいいの!? これ負けちゃう? まさかの敗北を喫しちゃう系?
「あ、アーサー! 無理しないでね!」
「わかっている!」
正直、アーサー、ランスロットの二人で勝てるとは思わない。
勝つ可能性はあるにしても多分低い。
誰か来てくれないか……!
「到着だぜえええ!」
「ふぅ。ミキ様に何かあったんでしょうか」
やってきたのはミカエルとガブリエル。
なんで来てくれたんだ?
「な、なんで?」
「ああ、ミキ様! 無事だったか!」
「よかった。突然神の気配が消えたから何事かと……」
神の気配?
「って、あぶねえ!」
ミカエルに足を向けられた。
ミカエルは剣を取る。
「おもしれえ! 私とやるってんなら相手してやるぜ」
「ミキ様。神の気配なくなってるんですけどどうかなさったのですか?」
「いや、封印されちゃっただけ」
「封印!?」
迂闊だよね。
封印されるってことを知らないにしてもなにかしてくるための対策をしてなかったからさ。今度から気を付けよ。
「まじですか……! 封印されたのならば早く力を取り戻しましょう!」
「どうやって?」
「教会で禁忌経典をもらうのです!」
なにそれ。
「ああ、取りに行くの面倒ですよね! 今私が執筆します! 十数分お待ちを!」
とガブリエルが本を書き始めた。
なにがなんだかわかんないけど救援は素直に助かった。死にそうだったからさ。ミカエルとアーサーがいれば勝率は上がったかな?
「糸がうざってえ!」
「くっ。きついな」
アーサーとミカエルはきつそうだ。
やはり二人というのはきついだろう。たぶんこの蜘蛛はレイドボスの類なんじゃないかなって思うわけだよ。
で、ミカエルとアーサーが苦戦している今で確信を得た。
「とりあえずくたばれえ!」
「ふんっ!」
アーサーとミカエルの一撃が蜘蛛に当たる。
蜘蛛はその一撃でよろけたのだった。後ろに後ずさり、そして、怒ったのか、辺り一面に糸を吐き出していた。
『ゼツボウ ト キボウ ハ ヒョウリイッタイ! オマエラ! キボウヲモッタノガサイゴ!』
蜘蛛は肥大化していく。
いや、この施設の絶望を吸って……成長している? この修道院全体の絶望が味方になっていると言うのか? だとすると、勝ち目はないぞ……?
『絶望は美味しいなァ! やっぱり人間の絶望の味は堪らないなァ!』
流暢に喋れるようになって……。
『やっぱり最高だよ! 人間は! オマエラのおかげで私が生まれてお前らのせいで私が生まれた! 人間には感謝をしつつ、食べないとなァ!』
どうしよう。
目に見えて強くなったのがわかる。体力は半分しかないけれど、今までの強さとは段違い…だ。修道院の絶望を啜りつくし、そして、成長した。
アーサーとミカエルだけでは勝てなさそうだ……。