絶望から生まれ絶望に生き絶望に死んでいく絶望 ①
絶望が魔物となって表れた。
絶望の蜘蛛は戦闘態勢をとっている。私も構えている。ランスロットはグィネヴィアを守るように盾を構えていた。
『ゼツボウ……』
「喋るのか?!」
喋る敵か……。
『フフフ、アーハッハッハ! オマエラ! ゼツボウスルガイイ!』
と、蜘蛛の糸を飛ばしてくる。
私は避けると、蜘蛛が攻撃の手を急にやめた。
『カミガ……イル』
私が神っていうことに気が付いたらしい。
わなわなと震えだした。私がいたらそんなにまずかったんだろうか。だけれどそれは知らない。私はモンスターを倒すだけ。
私の種族とか知ったこっちゃない。
『カミガイルゥゥゥ!!』
「だからどうした? 私に救いの手でも差し伸べてほしいの?」
『フウインセヨ! カミハ敵! フウインのマジュツ!』
と、私に光線が飛んでくる。
光の速度はさすがに躱せないって! 私はもろに胸に直撃してしまった。胸を貫かれた私は地面に倒れこむ。
《種族が人間になりました》
《所持スキルすべて使用不能となりました》
《ステータスがダウンします》
《封印されし力を解くには教会にヒントがありましょう》
……は?
いや、待ってくれ。所持スキル使用不可能? なんだそれ……! そんなのあり?
まってくれ。なら私の攻撃手段は……。いや、精霊魔法は精霊王としての特権だったしそれも封じられるのはわかるけど……。
まじか。神になって手に入れたスキルとか無理なのか。人間のスキルしか取れないのかな?
いわばこれって強制転生(劣化させる)ってことか……。
っていうか、これってまずくないか?
「私戦闘できなくなってるんだけど!?」
実質、戦闘不能。
剣とかそういうのとっておけばなんとかなったかもしれないのに……。私のバカ! 精霊魔法とかそんなのに頼り切りなんだよぅ!
『ゼツボウ……! ココチイイ……!』
これじゃルシファーたち呼べない?
とりあえず助けを呼ぼう! 誰かログインしてないか? 誰でもいいんだ。チリンは用事あって無理だからチリン以外で……!
い、いない、だと?
誰か彼かログインしてると思ってたんだけど!?
「どうしようどうしようどうしよう!?」
ルシファーたちは呼べそうにもないし……。
アーサー、ランスロットだけに戦わせるのだろうか。いや、グィネヴィアを守ることもあってランスロットはあまり戦力にはならなさそうだし……。
となると、アーサーだけ?
……これ、なんていう状況か私は知っている。
「詰みだろこれ」
戦える人も少ないし回復不可能。救援も望めない。絶望しかないじゃないか。
ミキちゃん、ピンチなう。