グィネヴィアには明日がない ③
本日この一話のみになるかもしれないしならないかもしれないし。
鍵を開けるとグィネヴィアは気を失っていた。
ひどい量の出血。青い痣が何個も出来ていて切り傷もたくさんある。とりあえず回復はしておいた。けれども、精神まではどうしようもない。
壊れてないといいけど……。
「アーサー。この鎖斬れる?」
「ただの鉄だから斬れるだろう」
「なら斬って」
「承知した」
アーサーは剣で鎖を切った。
グィネヴィアは地面にへたりと倒れる。それをランスロットが支え、そして背中におんぶの形で抱えていた。鎧のせいか若干背負いにくそうだ。
「……だけど随分すんなりいくな。ここまで簡単に行くのか?」
疑問だった。
戦闘もなく、ただただ助けるだけ。クエストとしてはあきらかに簡単すぎる。運営のことだからまだ何か用意してるんじゃないだろうか。
例えば……。
「来たわね、ランスロット」
「…………」
ランスロットが睨む。
その先にはおばちゃんがいた。シスター服に身は包んでおらず服にそでを通していた。おそらく修道員の院長だろう。
眠っているもう一人の部下を背負って歩いてきていた。
「貴方の魔力、やはり最高! グィネヴィアを利用して正解だったわ!」
「少し黙れ」
ランスロットがそういう。
そして、
「シャーーーーーーーー!!!」
どこかからそういう叫び声が聞こえる。
そして、壁を突き破って何かが現れた。それは、気持ち悪い外見で……。
「蜘蛛……」
鑑定してみると名前は”絶望の大蜘蛛”……。
糸をはいている。デカい蜘蛛は院長様めがけて糸を飛ばしていた。絡みつき、壁に引っ付く彼女。
「な、なんで……! た、助けろ……!」
そして、蜘蛛は院長を倒した。
この光景は小学生に適さないなぁ。なんて思いつつ私は戦闘態勢を整える。蜘蛛は糸を吐きまくりこの部屋全体に巨大な蜘蛛の巣を作っていた。
「…………っ! この蜘蛛、グィネヴィア?」
アーサーがそうつぶやいていた。
「けほっ……」
ちょうどよくグィネヴィアが目を覚ました。
「グィネヴィア。目覚めた直後で悪いんだけどこの魔物、何か知らない?」
「はい……? あ、この蜘蛛さん……。えっと、その、なんていうか……この蜘蛛さん、私のもう一人なんです」
……なんかとんでもないぶっ飛んだ発言をしてるんだけど。
「いや、私の絶望がこの蜘蛛になっている……。この修道院は人の絶望や不幸からエネルギーを抜き出し魔物を創っていたんだそうです。私の肥大した絶望がこの魔物の正体だと思います……」
ようするに、この蜘蛛はグィネヴィアの絶望であり、巨大だから……相当な絶望を感じていたというわけだろうか。
この施設のひどさがうかがえる魔物だな……。
「倒して害はないか?」
「ない、です。感覚がつながっているという感じもしません」
「なら大丈夫だ」
アーサーは剣を構えた。
青春ブタ野郎の映画のために小説読み返したんですけどいつ読んでも泣きましたね。
作者が住んでるところの近くで放映されたらいいなあ。車で行ける範囲なら見にいきたい。