グィネヴィアには明日がない ②
死にたい――
この場所に入って思ったのはそれだけだった。痣が残る体に鞭を打たれ、杭を刺される。私は何もしていないのに、水をただ汲んだだけなのに……。
ははは、皮肉だよね。
湖の騎士が水で狂ってその水のせいで私もこんな目に遭っているんだから……。
――だから、私を早く殺してください。
――もしくは、救ってください。ランスロット様。
☆ ★ ☆ ★
修道院まで走って駆け付けた。
中はひどい有様だった。シスターなんていう人たちがいると思ったんだけど出迎えもなく。ましてや聞こえてくるのは鞭の音など。
ここは修道院じゃなくて。修道院という名前の牢獄……。
部屋を覗いてみると繋がれた女の人がシスターに暴行を受けている。
……気分がそがれるな。
「グィネヴィアっ……!」
ランスロットが名前を呼んだ。
そして、ランスロットはかけていく。何かに引き寄せられるように。全速力で走っていった。アーサーと私はそれを追った。
アーサーはエクスカリバーを構えている。ランスロットもアロンダイトをすでに引き抜いていた。
そして。
「グィネヴィア……!」
「…………ット……ま?」
傷つき、壁に鎖でつながれたグィネヴィア。
牢獄のような鉄格子じゃなく窓もないただドアだけがある部屋。ドアには小窓だけついており中を確認できるようになっている。
グィネヴィアはドアのほうを向いた。
「鍵がかかっているな」
「壁を破壊するにも壁が分厚いから一筋縄じゃ行かないだろうね」
「建物が古いからミキの魔法をうつと最悪崩壊するかもしれん」
手加減をミスればな。
手加減をミスらないという自信はないから私の魔法は得策じゃないかも。
「ならばドアを一点突破しかない! アロンダイト! 俺に力を貸してくれ!」
ランスロットの剣が水に包まれる。
「はああああ!!」
剣がドアを突いた。だがしかし、傷ができただけでドアは破れることがなかった。
「……鍵穴があるな」
となると、誰かが持っているな。
だとすると、私のあのスキルが使える。
「私鍵とってくるよ」
ゴエモンに感謝だね。
私はまずゴエモン流隠遁術を使用した。そして忍び足を疾走を同時に使用。
足音は立てずに走っている。シスターの誰かが持っていることは確実だからだ。ただ、私は気配を読みづらくなってるだけで透明になっているわけじゃない。
「シスターはどこにいるんだ」
とりあえず走って探してみよう。
部屋の鍵は……。誰が持っているかは知らない。
シスターを発見した。
鍵をもって扉を閉めている。鍵は複数あって多分部屋のカギだと思われる。シスターはそれを懐にしまった。
……あそこにしまったら強奪が不可能……! そうはさせない!
気絶させればいいんだ。
「状態異常:眠り」
これも生命の主神になってできたこと。
ないかと思っていたけれどあった。薬が毒ともなるように状態異常もかけやすいようだ。眠ったシスターの懐から鍵をもらった。
さ、あとは開けるだけだ。