鍛錬は慢心と共に
ユキショウグンくんには回復にまわってもらうことにした。
そして、今は二人のレベル上げ。鍛冶でもレベル上がるらしいからサンちゃんには鍛冶をさせ、ユキショウグンはフィールドに連れまわす。エルルゥと私がユキショウグンくんの担当だった。
「光のつぶてっ!」
私もただ精霊魔法光と唱えるわけではない。
新しい技を開発しているのだ。まあ、今の刈りは大体カモシカとか雑魚敵なんだけどもさ。
「ユキショウグンくん! エルルゥの回復してみようか」
「は、はい! えーと、キュア!」
キュアは回復魔法の一番下級のものだ。だけど今はこれでいい。これで回復は十分事足りたりする。
黄緑の光がエルルゥを包み込んだ。
「ユキショウグンくんは私たちのHP管理を任せるね。やばいと思ったらとりあえず回復かけてもらって……バフスキルとか覚えられたら覚えてくれると嬉しいな。好きなようにやりたいとは思うだろうからそこらへんは任せるよ」
「りょ、りょーかいです! がんばります!」
うんうん。うちはホワイトだからね。給料は出せないけど。
「ところでミキ。カモシカしか狩っていないんだがこの森の奥地はいかないのか?」
「あー、そこ私行ったことないからさ」
「そうなのか。じゃあ、ためしにいってみようか。私が案内するよ」
「レベルとか大丈夫かな?」
「ゴブリンキングを討伐出来た私たちなら大丈夫だ。それに、回復の練習にもなるだろう?」
そうだね。
「よし、じゃ、奥地に行ってみようか!」
このA2O。昼より夜活動する生物が多い。さすがリアルフィクション。夜行性の動物が多いことまでしっかり再現してやがるぜえ……。
なんと夜の敵は昼より少しパワーアップするらしい。本領発揮できるとかそんな感じ。だが、私は大丈夫。余裕綽々で勝つことは可能だった。
「火海」
これも精霊魔法の火属性に分類される魔法。普通の魔法使いがスキルポイント15で取得できるものらしい。強力だから取得ポイントは高い。フレンドリーファイアはない平和なゲームだから味方を気にする必要もない技。
まあ、文字通り辺りは火の海!
「大炎戒”炎〇”!」
もちろんやれるわけがない。著作権とかにひっかかる。
「おおおお、ここは植物系モンスターが多いから火がよく通るな」
「これだけの火……火事になったりなんてしないんでしょうか」
「リアルフィクションとはいってもゲームだから大丈夫でしょ!」
そのときだった。
火が木に燃え移ったかと思うと、その木が燃え始めたのだった!
ええ、これって私たちには効果ないけどそこのものには効果あるのね!? つまり木は燃えてしまうと! 火事になるやん! 再現したのここまで!?
「火事だああああ!?」
「落ち着けミキ! 精霊魔法水で消火だ!」
「う、うん! 大海!」
すでに隣の木、隣の木へと燃え移っているからすばやく大量の水で広範囲に浴びせて消火する。
火はすぐに消された。死傷者はゼロ。けが人もゼロ。ただ、木が数本犠牲になった模様であるからして。いや、こうなるとは思ってなかったからさ……。平原の草は大丈夫だったし。
「……大丈夫ですか?」
「……これって捕まるのかな? 放火罪?」
「いや、そこまではないだろう。ゲームなんだから何とも言われないさ」
な、ならいいんだけど。無駄にリアルだから現実の法律を持ち込んだりとかして……。そ、それはないよなあ。ははは。
燃えやすいものの近くで火を使うのだめですよ。ミキはそのことを忘れていたようです。
というか無駄に再現してるあたり性格悪いですね。だけど文句としてゲームだからで済むあたり甘い。異世界とかなら「衛兵が王国の森だ! 所有権は王にある! 貴様を牢にぶち込む!」という展開とかありそうですがゲームですし捕まったら、ね?