円卓の王 ②
私は多分今までより早く飛んでいると思う。
主神になって飛行スキルがグレードアップしたのか、それとも使いすぎてレベルが上がったのか知らないけどものすごくはやくなっていた。
上空までまっすぐ向かっている。
そして、ある島が見えてきた。
「林檎の形……?」
とりあえずその島に降りてみると、なにやら草原に一人の女性が寝転がっていた。
金髪で長い髪をした女性。綺麗な顔つきをしてるなー……。この人がもしかしてアーサー王なんだろうか。とりあえず回復すればいいんでしょ? 回復!
《回復だと意味がありません》
まじですか。
なら、
「最上級回復!」
最上級回復は相手のMPとHPをフル回復させる回復。
状態異常は治らない。
すると、効果があったのかうぅんと唸りを上げて目を覚ましたのだった。
「あれ、ここは……」
「目が覚めた?」
「……誰だ?」
と可愛く首をかしげて聞いてくるのだった。
「私はミキ。貴方はアーサー王で間違いない?」
「あ、ああ。間違いないが……。その、ここはどこなんだ? 私は確かランスロットに……」
やっぱり裏切られたあとなんだ。
となると、ここってもしかしてもしかするんだけどさ。理想郷、だったりしない? いや、あるんだよ。神話で。というか、絶対そうだよね?
まあ確証はないのでとりあえずアーサー王と話してみよう。
「……助けられたのか。恩に着る。ミキ……っていったっけか。ありがとう」
ぺこりと頭を下げた。
「なにがあったかだけ、教えてくれる? ランスロットと」
「あ、ああ。思い出せる範囲でな……」
アーサー王は目を閉じた。
「あれは数年前のことだった。我が円卓の騎士の仲間でもあったランスロットが裏切った。グィネヴィアという女性に唆されて……な。そして聖杯をかけた戦争が起こったんだ。ランスロット軍と私の軍でな。私の軍にいたガヴェインというやつが兄弟を殺され怒り狂ってランスロットに突撃していくも敗れ、私がランスロットを倒そうとしたのだ。だがしかし、奴の聖剣、アロンダイトが異様な光を放ったと思うと私は気を失っていた……。で、今に至るのだが」
聖杯戦争……。
なるほど。聖杯、か。今もランスロットは生きてるのか?
「手痛い反乱だ……。私の王としての器が未熟だった。私の王としての器ができていたのなら、ランスロットは優秀だった。やっぱり裏切られるのは辛いものだな」
「……わかる」
「まぁいい。昔の話だ。さて、私は貴殿に恩返しをしたい。なにをすればいいだろうか」
……いや、うん。ここで言いたいことを言おう。
「仲間になってください!」
「うん? そんなことでいいのか。喜んでなるよ。これからよろしくな。ミキ」
「うん! アーサー王!」
《緊急クエスト:円卓の王をクリアしました》
アーサー王が仲間になりました。クー・フーリンでたときからだしたかったんでようやくだせたかな。