円卓の王 ①
ワイバーンの体力も削れていっている。
瀕死になっていた。いや、まぁ。ワイバーン弱くない? ミカエルたちが強いだけかもしれないけど動きも単調だし苦戦するような敵じゃないね。
「オラァ!」
ゴエモンが最後の一撃を決めていた。
《ワイバーンの討伐を確認しました》
《緊急クエスト:ワイバーン討伐をクリアしました》
というアナウンスが聞こえた。
さすがミカエルとゴエモン……。強い。ゴエモンに関しては普通の人間なはずなんだけどなんでそんな強いんだろ? 数多もの修羅場を経験しているのかな?
ただ、歴史で言うとゴエモンは……。釜茹でにされるんだっけ?
「……かっこいい」
と隣で観戦していたハクビがそうつぶやいた。
そしてかけていく。
「ゴエモンさん! カッコよかったです!」
「おう! そうだろうよ!」
「そ、その、俺を弟子にしてください!」
……まさかそうするの?
いや、いいけど。
「構わねえぜ! メアリも連れてきな! お前はあたしの弟子だ!」
「……こういうのもありか」
だって才能が盗賊の極意だもんな。盗賊の元で習うのが一番いいわ。私盗賊じゃないしね。
《クエスト:忌み子の兄妹を達成しました》
《緊急クエスト:円卓の王 を開始します》
…………はい?
「そういえばミキ。ハクビって忌み子だよな?」
「そ、そうだけど?」
えっと、さっきのクエスト、なんだろう。
「ハクビの首の後ろの痣……。これあたしどっかでみたことあんだよ。この円……」
とゴエモンがハクビの髪をあげて見せてきたのはドーナツみたいな形をした円。なんだか周りには黒いぼつぼつがあって何かの紋章としか思えない。
なんだろうこれ。円……。
「ハクビ。お前の親って知ってるか?」
「親? 俺の親は……いた気がするけど小さいころ棄てられたからわからない」
「わからない?」
「なんか王様ってことは……うっすらとなんだけど」
……王様?
わからないな。で、さっきのクエストアナウンス……。王……。
あっ。
私は一人の存在にたどり着いた。それは、私の念願の相棒みたいなものだった。
「円卓の騎士王……アーサー」
アーサー王!
英雄じゃん! それも一番強そうな英雄じゃん?!
その時だった。
『聞こえますか? ミキよ』
と、アルテナ様の声が聞こえた。
「聞こえてますけど……」
私は舞い上がるテンションを抑えきれない声で返事をした。
念願の英雄が手に入るかもしれない。嬉しい……!
『ミキにはある者の治療をしてほしいのです……』
「治療?」
『はい。その者はこの王都のはるか上空の地で一人、私が管理している島にいます。飛行してそこにいってください。障壁は除いておくので』
……?
障壁張ってるんだ。
まあいいや。この上空……どこまで飛べばいいのかわからないけどとりあえず飛ぼうかな!
「ゴエモンまたね! 私用事あるから!」
「おう! こいつらは任せておけってんだ!」
「ミキ様! 待ってください! どこにいくんですかあーーー!」
ミキに英雄が!
これ以上与えてどうするの? といいたいですけどこれはちょっと作者が悪い。だってだしたかったんだもん……。ミキがひとりでに強くなっちゃってるんだもん。