ワイバーン、飛来 ③
ゴエモンたちが戦っている傍ら。私はハクビに理由を問いただしていた。
「なんで入っていったの?」
「……勇者たちなら、おれを差別しないと思ったから」
「思ったからなに?」
「……その、おうえんを、したく、て」
……はぁ。
応援、ねえ。するのはいいけど困らせるような応援ダメだよね。
「あのねぇ。忌み子だからとかそんなのは抜きにしてもダメだよ。人の迷惑を考えなさい」
「ごめ……なさい」
「忌み子だからだめとかそんなんじゃないからね? 忌み子じゃなくても迷惑をかけるのはダメ。これをしっかり心にとどめておくこと」
説教らしい説教をしたことがない。
そもそも私は自分で言うけどあまり怒らないほうなんだ。ちょっとムカつくなって思っても怒らない。私が一回本気でチリンに怒ったことはあるけど……。それ以外はないような気がする。
いや、チリンじゃなくてうぉたぁに怒ったんだわ。
「って、ゴエモン体力やばいじゃん!」
不意に見てみるとゴエモンが死にそうになっていた。回復しておいた。
「ミキ! 助かったぜ! 今度は攻撃当たんねえようにするから!」
と大声で聞こえたのだった。
「君どうしたの?」
「どしたー?」
女性勇者が声をかけてきた。
優しい笑みを浮かべハクビを撫でている。いや、優しいというか、顔を赤らめている? っていうか、はぁはぁっていうと息が聞こえるのは気のせいか?
「あ、あの! おれのこと、どうおもってますか?」
「君の事? んー、天使かな」
「私と同族じゃないですよ?」
たとえだよわかってあげろガブリエル。
「おれ、こわくないですよね?!」
「怖くないよ? むしろ可愛いかな」
「ショタコンもそこまでにしておけっつーの」
とチョップされていた。
「それより、あのさ。あのバカ……いつまであそこにいるの? 正直いつあいつが死ぬかひやひやするんだけど」
「隙あらば攻撃しようとしてるねー。うん」
……あ。
忘れてた。あの男の子のほうを見ると剣を握っている。いつ戦おうか見定めているらしい。バカじゃないの? 忠告を受けてまだ戦おうとするの? バカでしょうが。
「連れ戻してくる」
「はーい」
私の任務はあの男の子の回収だ。
男の子の元につく。近くではワイバーンとの戦闘が繰り広げられていた。
「ほら、攻撃しない。いくよ」
「うるせえ! 俺は勇者だ! すごい力を持ってんだよ!」
と、私の手を振りほどく。
勇者だからなんだよ。勇者だからすごい力を持ってるって言っても死ぬんなら意味がないんだよ。実力差を考えろ。無鉄砲はただのバカだぞ。
いろいろと言いたいことはあるけど、とりあえず回収しなくてはならない。
「ほら、さっさといく」
「うるさいな! 俺は勇者だって言ってんだろうがよ! 邪魔するならお前も……!」
「……なに?」
仕方がないので強硬手段に出ることにした。
私は魔法で後ろの地面をえぐる。
「私とやるの? ならいいよ。相手してあげる。ただ、生きて返す保証はないからね」
「…………」
勇者は戦慄としていた。
「これでも私は君より強いから。勇者だろうがなんだろうが知らないよ。死ぬならそこらへんで一人で死んで。私の目の前で死なないでよ」
「…………」
地面をえぐったことによりちょっと恐怖心が湧いたらしくあの女勇者たちのほうにむかって走っていった。
まったく。世話が焼ける。