忌み子の本来の意味
いつも通り森の中で鍛錬していると。
「ありゃ、ミキじゃねえか。何してんだァ? んなとこでよォ」
ゴエモンと出会った。
ここ、第七層エリアなんだけどなんでゴエモンがいるんだ? 邪神ちゃんならともかくゴエモンが何の用だろうか。
聞いてみた。
「あー、まぁ、ちょいとばかしな。で? そっちは忌み子どもか」
ゴエモンがそういうとハクビの目が険しくなる。
「お前も差別するのか……!」
「あー、すまねえな。そういうつもりじゃねえ。珍しいと思っただけだ」
「…………」
「というか、忌み子ってのは誇っていいことなんだぜ?」
「え?」
ゴエモン、何か知ってるんだろうか。
「どういうことだよ……! 忌み子に生まれていいことなんざ……!」
「忌み子っちゅうのは本来能力をもって生まれるもんだぜ? ま、この事実はあまり知られてねーようだがよ」
「は?」
「昔は嫉妬で忌み嫌われていたから忌み子っちゅうあだ名ってもんだったんだ。今となると人と違うからという理由に変遷したみてーだな」
……なるほど。認識の祖語か。
ゴエモンはなんでその事実を知っているのかが疑問なんだけど。
「王都いって鑑定してもらえたらわかる。まぁミキなら鑑定できそうだけどな」
「あー、できるけど」
というかプレイヤーならできるんじゃないだろうか。
っていうか知らんかった。忌み子がそんないいものだとは……。ハクビとメアリは何か能力があるということ。少しばかり鑑定してみようか。
ハクビ【盗賊の極意】
メアリ【治癒の力】
ほんとだ。
なんか名前の横に何かついてる。
「メアリが治癒の力で、ハクビが盗賊の極意」
というと、ゴエモンが目を光らせた。
「そいつはいいじゃねえか! ハクビ! あたしの元で学ばないか! あたしもいずれ死ぬだろうし跡継ぎを作りてえんだよ!」
「は?」
「メアリっていうのも一緒に引き取ってやる! どうだ? 三食保証するぜ?」
と、ゴエモンがいう。
だがしかし、天使たちが抗議をした。
「知識は私が教えるんだーい!」
「ちょっとー! 私がせっかく鍛錬してやってるのによー!」
「私も魔法を教えてあげようと思っていたのですけれど……」
「私は……な、なにも、ない、な……」
ゴエモンが非難される。少ししかめていた。
「別に構わねえよ……。あたしゃ泥棒の技術を教えるだけだ。盗賊の極意がある分天賦の才があるとみて間違いねえしな」
「いえいえ、うちのハクビ君は泥棒なんかにはなりません」
「ほう? 泥棒なんかとは言ってくれるじゃねえか」
「泥棒って犯罪じゃないですかやだー!」
ガブリエル。煽るな。
「まぁ、たしかに犯罪だけれどよ、この犯罪がないとやっていけない人もいるもんだ。それに、あたしの狙いは悪い奴だけだぜ」
「……悪い奴なら問題ねーだろ! いい奴からとるのはぶん殴ってたぜ!」
「さすがに善政を敷いてるやつにゃあ手出しはしねえ。このゴエモン様は正義の泥棒だからなぁ!」
まさしく正義の泥棒その通りだと思う。