忌み子の兄妹 ③
拒否したことにウリエルは驚いていた。
「この髪を目は気に入らないけど、でも、生まれ持った顔に罪はないし変えたくない! なんか、自分が変わってしまいそうな気がするんだ」
そう。
偉いな。私だったら変えてるよ。変えて、現実から逃げるだろうね。まぁ、この子たちもこの子たちで悲しいんだろう。私も昔そんなことあったから……。
同情心というか、シンパシーというか。
私の中でどうにか助けなくちゃ……という感情が一番強くなっている気がした。
「……ハクビ君たちは、どうしたい」
「ど、どうってなんだよ」
「あいつらを見返したい? 力を手に入れたい?」
「そりゃ、まぁ」
「……ならミカエル。この子たちを鍛えてあげて」
「わかったぜ!」
戦闘はミカエルに任せておけばいい。
ハクビくんたちは私より強い。私なんか変わろうとしなかったから。逃げようとしたから。なんだか、本当の人間じゃないとはいえちょっと羨ましいな。その感情は。
……なんかこのこたちを見てると昔を思い出してくる。
「ガブリエルは知識を教えてあげて」
「わかりました! 不肖ガブリエル! 教師役を勤めさせていただきます!」
「じゃ、頼んだよ。ハクビくん。強くなりたいならこの人たちから技術を盗んでね」
ダメだ。嫉妬……っていうか、なんていうか。
助けなくちゃという感情もでかい。でも、ちょっと羨ましいっていう気持ちもある。過去なんて簡単に割り切れないもんな。割り切ることができないよな。
過去は過去だっていうことは簡単でも割り切ることは意外と難しいものだ。
「……お姉さんは、教えてくれないの?」
「……私から教えることはないよ」
「……俺、お姉さんから教わりたいことあるんだけど」
「……なに、かな」
……なにブルーになってるんだ私。
元気出せよ。過去なんて思い出すなって。いや、顔に出すな。心にとどめておけ。無駄な不安を生ませるんじゃない。
「お姉さんみたいに強くなりたい! こんな俺を地道にあやそうとしてくれたこと、普通できない。途中であきらめるよ。なのにお姉さんは……」
「……そう」
「お姉さんからはいろいろ学びたい!」
ひどく曖昧だ。
けどまあ、拒否する理由がない。
「わかったよ。私は厳しいからね」
「望むところだ!」
少年は剣を握っていた。
「戦闘は基本死なないことを心がけろよ!」
ミカエルの熱い指導が飛ぶ。
「無理だなと思う相手からはすぐに逃げろ! 勝てると思えるだけにしろよな!」
「はい!」
「じゃあ剣を構え! 私に切りかかってくるがいい!」
元気だ。
きっとハクビくんなら強くなれるよ。私と違ってね。
ブルーなミキちゃん