忌み子の兄妹 ②
とりあえずこの兄妹をどうしようか。
「ほら、怖くないよ~」
仲良くなるところから始めたい。
なんだか動物をあやしてる気分だ。懐からキャンディーを取り出して与えてみる。少年は受け取らない。うーむ。餌付けがダメか……。
「お前らなんか信用できるか……! 人間はすぐに俺たちを……!」
「私たち人間じゃないんですけどねー」
「天使だぞ天使! どうだ! 人間じゃねえから大丈夫だろ!」
「天使……?」
お? 効果あるか?
「う、うるさい! 天使なんているわけないんだ! 俺神様信じてねえからな!」
「ふふ、じゃあこの羽根はどう説明します?」
ラファエルは余裕そうだな……。
男の子に羽根を触らせている。メアリちゃんも触ってるね。
「あんっ。もっと優しくしてください。敏感なんですぅ……」
なんだかいけないことをしている気分だ。
「はね!」
「羽ですよ~」
「天使さんだ!」
「その通りですぅ」
メアリちゃんは受け入れたのか喜んで天使さん天使さんと言っている。
一方兄のハクビのほうはまだ羽根を触っているが怪訝な顔をしているばかりだ。この様子だとまだ信じてないんだな。
「ふふ、ミキ様。ここはガブリエルにお任せあれ!」
と、ガブリエルが自信満々に前に出る。
手帳に魔法陣を描いている。フリーハンドで魔法陣かけるのはすごい。私もやりたいけど綺麗な円を手で書けない。
そして、ガブリエルは手帳を破いた。
「召喚!」
そして、召喚されたのはウサギ。
ウサギ好きだなこのゲーム……。もふもふとしたふわふわ毛並みのウサギ。赤い目がちょっとキューティクル。可愛い……!
「うさぎさん!」
「ふふ、このウサギさん。触りますか?」
「さわる!」
「ハクビ君はどうでしょう?」
「……さわる」
触るんだ。
案外可愛いもの好きだったりするんだろうか。
「……もふもふ」
「もふーっ!」
「きゅ!?」
ウサギさん驚いてるじゃん。
「おねえさんすごい! ウサギさんだせるなんて!」
「ふふ、それは神様の眷属の天使ですからね! この程度なら余裕のよっちゃんですよ!」
「すごーい!」
「……すごい、な。天使は」
お? 効果あり?
「まず自己紹介しておきましょう。私はガブリエル。天使さんです」
ハクビはガブリエルに懐いたみたいだ。
ガブリエルのそばにいたまま離れようとしていない。
「私はウリエル。こっちがミカエルであっちで微笑んでるのがラファエルだ」
「ミカエルいつから!?」
「さっき来たばかりだ! あいつらはのして近くの村に捨ててきたぜ!」
ミカエル片づけるのはやーい……。
「……ねぇ、ハクビ君」
「……なんだ」
「よかったらだけど私たちが君を保護しようかい? 天界もまだまだ復興途中だが神様がいる。君たちが望むならその外見も変わる。どうだい?」
とウリエルが提案する。
ウリエルが頼んでも申請通るのかはわからないな……。と、ラファエルがこっちを見て頭を下げる。ああ、私が頼めってことね……。わかったよ。
そして、少年が出した答えは。
「いや……だ」
という明確な拒絶だった。