流行り病 ②
ピョンっていう仲間を得たにしてもどこを探していいかわからない。動物によって好む場所が違うしこの極寒の中で住むことができる動物は限られているだろうに。
「きゃああああああ!!」
と、叫び声が聞こえた。
ピョンと一緒に悲鳴の元にいくと女性が泣いていた。そして、隣にトラの耳をつけた獣人が黒く変色し死んでいた。
それはもう黒かった。手を合わせる。そして遺体をまじまじとみた。一応グロさはない。黒く変色していること以外寝ているだけにしか見えない。
その遺体を見ているとなんだか思い出してくる。
「……黒く、死ぬ?」
思い出した。
黒死病。またの名を、ペスト。それがこの流行り病なんじゃないだろうか。そして、その小説もある。その小説で何かペストを起こしていたかというと、一匹の鼠。
ネズミか……!
「ネズミの魔物だ! ネズミの魔物がこの流行り病を……!」
「ネズミ……? そういえば、最近ちゅーちゅーという鳴き声が街の中でって……」
「それじゃん!?」
気づけよ!? ちゅーちゅーってあからさまじゃんか!
犯人の動物はネズミだ。
ピョンと一緒に鼠探しをすることになった。
ピョンの話からよると糞の大きさからみるに相当でかいらしい。それがペスト菌を振りまいている元凶。
でも本当にペストなんだろうか。
ピョンの話によると感染病ではないといっていた。けれどしかし。ペストは感染病だ。
本物のペストとは矛盾点がある。
違う病気なんじゃないかと思うけど……。でも、これが一番有力なんだ。
「ダークデス……」
「ん?」
「昔も似たようなことがあったらしいです。文献によると闇に呑まれて死んでるかのようでダークデスって書いてました。症状がほぼ一致なんでそれかなと今思って……」
なるほど。病気が違うわけか。
ペストは日本語で言うと黒死病。黒く死ぬって書く。英語ではブラックデス。ダークデスとは違うから。ダークデスは闇死病となるのかな。
「もしかしたら、それなんです。元凶は……のってないんですけどね」
昔のことが今起きたということか。
ベアンも知らないんだろう。何世代前だか知らないけれど結構前のことなんだから。この病気の対処法なんてのも。
「だから元凶が本当にネズミなのか不安です。いくらモンスターといえど私たち獣人は獣を大切にします。獣をむやみやたらと狩ることは倫理的に禁止されているんです。だから、無駄な殺生はしないようにしたい……んです」
無駄な殺生か。
要するに犠牲となるモンスターは一体だけにしてほしいということだろう。それにより結果が変わるクエストだろうか。
……ネズミであってますように。
心からそう願った。