流行り病 ①
「流行り病?」
ベアンがそう言っていた。
ベアンによると最近黒く変色した死体が見つかっているという。変死体であり調べさせたのだが結果は見られず、その調べた人も黒く変色して死んだそうだ。
内容が内容なだけに小さい子には……と思う。
だけど、どこかで聞いたことがあるストーリーだった。
「原因を探るんですね?」
「頼むよ……」
ベアンは憔悴しきっていた。
《クエスト:獣の国の流行り病 を受けました》
探せというけれどこれと言ったヒントもなしに当てろっていうのがむずかしい。なので探らせているウサギの獣人に会いに行けと言われたのだった。
ウサギの獣人は郊外にいる。メガネをかけた女の人だった。
「あのー」
「ひゃい!」
声をかけると驚いた。
飛び上がりこちらを見てくる。すぐに姿勢を正しメガネを治した。
「はい、な、なんでしょう」
「あなたが流行り病を調べている学者さんで?」
「はい。あなたも調査ですか?」
と、訪ねてきたので頷く。
「そうですか。なら私の知ってること話すので一緒に探しましょう」
と言われたので場所を変えて休むことになった。
切り株の上に座る。満腹度が減ってきていたのでイベントリから簡単な携帯食を取り出した。料理はふつうしまえないけれど携帯食レシピならしまえることが発覚し、それからしまっている。
「お茶です! 薬草茶なので癒されますよ」
と言われたのでお茶を受け取る。
「で、調査の結果なんですけどね……」
ウサギ耳をひょこひょこさせて話し始めた。
「この病気は感染病……というわけじゃなさそうです。で、病原菌はモンスターがまき散らしている可能性が高いということですね」
モンスターが?
この病気をまき散らすモンスターか。うーん。なんかひっかかっているんだよなー。私の知識では多分内容が似ている小説が一つ……。
「鳥ではなく、多分哺乳類……。動物? 動物のモンスターですね。糞から調べると」
糞?
糞を調べてその結果なのか。っていうか機械もないのにそんな詳しいこと分かるのかな。触ったりするのか……?
……ま、そこらへんは触れないようにしよう。
「そのモンスターがわかんないんですよねー!」
と頭を掻いていた。
どのモンスターか特定できていないのはまだな……。特徴という特徴を知らないしどのようなモンスターがまき散らしているのか……。鳥じゃないってことを考えて哺乳類だとすると結構限られてくるのか?
猫、犬、鹿、牛、馬……。うーん。
「あの、お願いですけど一緒に探しません? 私モンスターと戦えるほどの力ないんで……」
「わかった」
「やった! 私ウサギ獣人のピョンといいます!」
「ミキだよ。よろしくね」
仲間を得た。
実在する小説をモチーフにしています。