ギルド設立に向けて
A2O内の喫茶店。
チリンと面と向かってコーヒーを飲んでいた。ゲーム内と言えど味覚を感じ、まるで現実と同じような感覚に陥る。
「それで、話ってなにかな?」
満腹度の回復のためにサンドイッチをつまむ。レタスがしゃきしゃきしてて美味しい。
「あのさ、ミキ」
「うん」
「その、さ。今、どう? 楽しい?」
チリンは俯きながら聞いてくる。
チリンにしては珍しい質問だ。楽しいかってそんなものは愚問でしかない。
「もちろん。楽しいよ。とってもね」
「よかった。もう、あのことは引きずってないんだね」
「……まあ、あれは何年もひきずることじゃないからね」
昔は私もゲームには興味あった。だけど、あることをきっかけに、私はゲームに対して興味を失っていたことがある。
……まあ、それは今は関係ないからいいんだけどね。
「で? 本題は? お願いってなにかな」
「あー、あのさ。私たちもギルド、つくらない?」
ギルド?
ああ、たしか前勧誘されたな。獣王が率いるところとか。ギルドっていうものをあまり理解してないんだけどどういうものなの?
「嫌ならいいんだ。ソロプレイが好きならソロでもいい。けど、私はミキと一緒に作りたいなーって」
「いいけどギルドって何?」
「いいのか!?」
「うん。で、ギルドって?」
「ギルドはプレイヤーたちの集まりだ。ギルドを作るとギルドホームを持つことができてそこを拠点にできる。そして何より! ギルド限定のクエストもあるんだ!」
「へぇ」
「もちろんギルドに入ってるからって言って他のギルドとパーティーとか組めないわけじゃないよ? ただ、ギルドに入ってると何かとお得なものもあるんだ」
ほえー。じゃあ、ギルドに入ったほうがいいのかな?
「登録するには最低五人必要なんだけど……。とりあえずエルルゥとルルークに声をかけてみたらいいっていってた」
「あの二人も同じギルドになるのか」
それは心強い。
結構いいじゃん。後衛二人に前衛二人。支援がいないけどね。
「あれ? でも私含めると四人だね。あと一人足りなくない?」
「そう。私のフレンドも軒並み他のギルドに加入しててねえ。あと一人どうしようか」
「ローイさんとかカティさんは?」
「あのひとたちは生産系のギルドをもう設立してる。無理」
「そうなんだ」
じゃあ、プギーしかいないけど、プギーも前にギルド入ったとか言ってたような気もしたし、これはもういないぞ。
私そもそもフレンドが少ないしね。
「こうなったら勧誘するしかないかあ」
「そうだね。それしかないよね」
「よーし。じゃあエルルゥとルルークを呼ぶね」
「了解」