オピウムの種
なぜか知らない。
今目の前にはチリンが私に剣を向けている。特に恨まれるようなこともした覚えがないし、なによりクー・フーリンが手を出すべきか悩んでいる。
ルシファーたちは私が止めているけど……。なにがあった。
「クー・フーリン。説明!」
「えっと、ご主人はこんな種を使って……」
スキルの種? それでこんなになるのだろうか。
鑑定してみよう。
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・オピウムの種
使用すると幻覚が見えるようになる。スキルの種と酷似している。
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なるほど。幻覚が見えて私に攻撃してるのか。
オピウムってどっかで聞いたことあるんだけどなんだっけなぁ。
チリンが間違って使って幻覚が見えているわけだ。
……でもおかしいな。スキルの種だーって私にも分けてもらって私もさっき使用したけど幻覚なんてもの見えてないぞ? チリンが見えてるのなら私にも見えるんじゃないかと思うけど……。
ほら、私も狂った精霊になったことあるし。
あれと同じだと思うけど違うのかもしれない。
……あっ。いや、もしかして……。いや、そうだ。私のスキルのおかげだ。精霊の眼。これ活躍したところなかったしすっかり忘れてたけど幻惑状態なのねこれ。
「ったく、なんでオピウムなんか……」
私はとりあえず構えた。
チリンが剣を振ってくる。それを避け、チリンに向かって魔法を放つ。だが避けられた。チリンも結構上手いプレイヤーだし避けることはあるだろう。
連発して撃つ!
「ふっ。モンスターの攻撃なんて当たるかぁ! そんな威力高いもんびびるだろうが!」
「だぁ! こいつめんどくせえ!」
さっさとキルして状態異常を回復させたいのに!
状態異常回復薬とかあればいいけど私そんなの持ち合わせてない! いや、チリン! ほんとふざけんなあ! 使う前に鑑定ぐらいしなさい! 偽物掴んだからこうなるんだよ!
「クー・フーリン、ルシファー、ベルゼブブ。許可する。チリンをやる」
「了解」
「任せておけ!」
「仕方ない……! ご主人。すまぬ!」
リンチじゃこの野郎! めんどくさいことさせやがって!!
チリンがリスポーンし正気を取り戻した。
「……いやぁ、モンスターにやられた。ごめん……ってなんでそんな怒ってるのミキ?」
まだ自分が幻覚を見て私たちに攻撃していたことを知らないのか。
いやいや、怒るでしょ。恩着せがましいかもしれないけどクー・フーリンを買ったのは私だよ? それなのに攻撃される? ふざけんなぁ!
これはちょっと仕返ししても許されるよね?
「……ちょっとしねえ!」
「な、なんで~~!?」
ムカつく! あんたのせいで!
っていうか今思い出したけどオピウムって麻薬じゃんか! あれアヘンとかそんなやつだぞ!