瓦礫の撤去
クー・フーリンも天界の復興を手伝うことになった。
ルシファーが落ちている瓦礫を拾う。町おこしもするのだが倒壊した神殿などがあってそれが邪魔だったりもする。
なのでプレイヤーで拾っていた。
範囲が広いのなんの。
「まさか背徳の堕天使ルシファーだとは思わなんだ」
「ふん」
クー・フーリンは瓦礫を軽々と持ち上げぽいっと野球ボールみたいに投げる。力はすごいだなー……。私持つのちょっと辛いのに。いや、力ないだけなんだけど……。
ちからのステータスが普通のプレイヤーより弱いからね……。結構あがったとはいえチリンを超すほどじゃない。
「貴様も人間にしてはやるではないか」
「これでも鍛えているからな」
「並の人間よりは強い。誇ってもいいぞ」
「……格上に言われたら嬉しくなるな」
クー・フーリンは照れている。ちくしょう。可愛い。
可愛くて強くて胸がでかいとかいいとこどりすぎるだろ。私にも少し寄越せ。できればおっぱいをよこせ。嫉妬じゃないよこれは。憤怒だよ。
「……そういやクー・フーリンはどうして奴隷に?」
「……ご主人。重たい話になるがいいか」
「えっ」
あ、これチリン地雷踏んだな? チリンの考えだと「ギャンブルに全額使って借金返せなくて奴隷になったー」とか思っていたんだろうけど。どうやら違うみたいだね。
チリンは目を泳がせている。いや、こっち見るな。助けを求めるな。
「ほらー! そこ! 手を動かして!」
「テンションバリバリだぜーーー!」
ウリエルとミカエルが瓦礫を退けていた。
呼び出したからね。瓦礫を退けるのを手伝ってくれって。そうしたらミカエルががぜんやる気になっていた。ちぎっては投げの要領で瓦礫をぽいぽい捨てている。
正直言うと、ミカエルだけでいいんじゃない?
「……負けるか!」
「お? 緑髪ちゃんやるな! ならば勝負だ!」
「ミカエルさんはこう勝負をしたがる……」
ミカエルとクー・フーリンが瓦礫退け対決をしていた。
クー・フーリンの過去か……。重い話。うーん。歴史だと確か番犬を殺して、で、自分が番犬になるーとかいってクランの猛犬って言われるようになったぐらいしか知らない。
戦いにめっぽう強くて最後は柱にくくりつけながら戦って死んだとか。結構あやふやなまま覚えてる。
「もう退けるのもめんどくせえ! 私の渾身のパンチで粉々だぁ!」
「神槍ゲイボルグ! 塵にするのだ!」
二人もうめんどくさくなったのか……。
ミカエルがパンチを放ち、クー・フーリンがゲイボルグで瓦礫を一突きすると粉々になる。だがしかし。そううまくいくもんじゃない。
地面が、崩れた。
天界は雲の上にある。雲の上にこれがあるとしたら地面が崩れたら……。
「あ゛ーーーーーっ! ミカエルさんバカなの!? 下には人間の国があるんだよ!?」
「クー・フーリン! 横着しない!」
「「……てへっ」」
てへっで済まされたら警察いらないんだよなぁ。
雲は移動しますよね。はい。実は移動してます。
後日
「空から瓦礫が降ってきた! 逃げろ!」
「む、金が混じっている! こりゃ盗むしかあるめえ!」
「ゴエモンさんが瓦礫を砕いて金を取り出している……!」
なんてことがあったり。