奴隷オークション
そんなこんなで町おこしプロジェクトは進んでいく。
そして、私たちは今、久しぶりに王都に来ていた。ここはゲームだけれど異世界と考えたほうがいいし、異世界には何があるかと考えるとこれもあるだろう。
奴隷。
設定では奴隷制度は未だにあるらしくNPCが競売に出されているらしい。
これが一時期問題になったという話もあるが強引にぶち込んできた。ただし奴隷を購入出来る年齢も制限されていて高校生未満はダメ。高校生から買えるように設定されているらしい。
そしてなにより奴隷はプレイヤーはならない。なったとしたらいろいろ問題があるらしいからね。
「本当このゲームってゲームというよりもう一つの世界に来てるようだよなー」
「言えてる」
もうここは異世界と言っても過言じゃない。
作りこみの凄さに驚くばかりだ。
「今回はチリンが好きに使える仲間がほしいってことだっけ」
「うん。大罪系仲間にしたいけど……条件がきつそうだしここは無難に……ってね」
「ま、それがいいね」
「……ま、ここに簡単に仲間にしてるやつがいるんだけど」
いやいや、運がよかっただけだから。
他に仲間にされてない大罪系と言ったら
アスモデウス、レヴィアタン、サタン、マモン、ベルフェゴールだけかな?
「できればタンクとして活躍できるNPCがいるといいなー」
そうチリンが呟くと奴隷オークションがちょうど始まったのだった。
司会者の演説があり、やっと商品が並べられていく。まず最初に出されたのは機械人間の女の子。可愛い。
アンドロイド……ねえ。
売れるには売れるのか。
「はいはいはーい!10万!」
『10万! ほかにはいませんか!』
はい、チリン早速購入おめでとうございます。
チリンの資金はおよそ300万らしい。これで全財産だとか。それで結構いいやつ買いたいなーとは言っていた。私も一応1000万をおろしてきた。
……なんでこんなにあるんだろう。なんて思った? そりゃまあこつこつ貯金したのもあるし、未知のエリアから持ってきた素材を片っ端から売却したらね。
このオークションのために、ね。私は買う予定ないけど、もしかしたら……ってことがね。
「続いてはこちら!」
で、オークションも最後のほう。
チリンは三人購入し、残る残金は百万。いや、使いすぎだろと思うけどエルフが販売されていたらしい。ものすごく可愛いから買ったとのこと。
欲望に負けすぎだ。痛い目見るぞ。
『ここで超お目玉商品! なんと英雄クー・フーリン! 槍の使い手だ!』
……。
隣を見てみるとチリンがやってしまったと言いたげな顔をしている。やっぱりこうなったか……。チリンは後先考えないで浪費するから最後にいいのが来るってわかってもその時にはもう遅い。
用意しておいてよかったよ……。
『二百万、三百万! まだまだ上がっていく! おお! とうとう八百五十万! 歴代最高金額だー!』
さすがに欲しい人がいるよなあ。
で、チリンは?
「欲しい?」
「……うん」
「しょうがないなぁ」
私は息を吸って。
「一千万」
そうつぶやいた。
有り金全部。これ以上出されたら買えないわ。来ませんように……。っていうか、もう後半だしほぼほぼ使い切った人も多そうだな。
「一千万が出ました! 他には……あと10カウントするうちに名乗り出てくださいね! はいじゅーう……」
そして、カウントが進んでいく。
「いーち……。ぜろ! 入札者は番号1098番のかたに決まりましたーーーー!!」
買えた。
さて、これで借り一つ。さすがに一千万という大金は集めるのにもちょっと苦労するんだよ。
「はい。チリン」
「ありがとうミキーーーーーっ! 愛してるーーーーっ!」
「まったく……」
さて、ほぼほぼ無一文になっちゃったなー……。