天使たちの夢現 ④
町おこしもまだまだやることがある。
飲食店はまだいいとして、次は名所。名所がないと人が来ないだろうな。なんて思う。ほら、有名な名所とかパワースポットとかって結構人来るじゃん? 神聖なところだと力貰える、的な? アレ。あれやろう。
私たちは早速天界に向かうと、驚くものを目にしたのだった。
荒らされている……というわけでもない。むしろ、余計なものが一つ増えている。
いや、銅像……なのはいいんだ。けどさ……。
「私の銅像!?」
なんで!? 無駄に顔の造形凝ってるけど!? いやいやいや、おかしくない? 私こんなえらいことしてないからね? 国民的に有名な警察官でもないしましてや銅像にされるほどのもんじゃないし。
私は困ってチリンを見ると、何かを察したような顔をしていた。
「……なんか知ってるの?」
「えっ」
私はチリンに問い詰めた。
被告は吐いた。洗いざらい、な。
「私の親衛隊……? そんなんがいるの? 多分そいつらが作ったって?」
「間違いなく。いや、鍛冶の腕がものすごく上手い人いるし……」
……なにしてんの親衛隊! もしかして親衛隊だから本気で銅像建てたって感じなの? そうなの? いやいやいや。作るのはまだいいよ。なんでこんな場所に置くの? 見せつけたいの? 私の不細工な顔を見せつけたいの? いいの? 親衛隊のみんな排除しちゃうよ?
……ま、とりあえず……。
「この銅像をぶっ壊す!」
私は魔法を放ち、銅像を粉々に砕け散らせた。
その瞬間。
「ああーーーーーーっ!」
そんな叫び声も上がったりしていたのだった。
目の前の男の人は悲観に暮れている。
いや、勝手に私の銅像を建てたりした分情状酌量の余地は全くと言っていいほどにあるわけがないしそもそもあんな公衆の面前にさらされた私の身にもなれ。
マジで恥ずかしいんだぞ。私のあんなぶっさいくな顔……! そんな可愛くないだろあれ……。
「……次やったらPKも辞さない」
「本望です!」
「…………」
「ああ、なんてすごいんだろう。僕はなんて幸運なんだろう。あのミキ様に作った銅像を破壊され叱られるとは……! 尊し……!」
「チリン助けて」
私はチリンに助けを求めるも目をそらされた。
いや、私だけでどうしろと? 目の前のこの変態をどうにかできると思ってるの? なんでそんな恍惚とした顔をしてるの? 殺されたいの?
というか、軽くキモイんですけど……。なに、私の親衛隊ってこういうのばっかなの?
そもそもさ……。
「私のどこがいいのかさっぱりわかんない。顔はよくないわ、性格も最悪じゃない? 私結構文句ばっか言ってるような気がするけど」
「ええっ! 貴方のようなTKGが揃ってる方がなんていいますか!」
TKG? 卵かけご飯?
「強い、可愛い、女の子の略です!」
それGいらなくない? TKだけでもいいんじゃない?
「ミキ様は自分の可愛さを自覚してない! なにをもって不細工と自分を定義しているんですか! いいですか? ミキ様の可愛さは……」
なんか急に説教始まったんだけど!?
というか、私の可愛さをなんでそんな語れるの!? 逆に嫌なんだけど!?
この後、めちゃくちゃ語られた。
きもっ……親衛隊キモイ……。