天使たちの夢現 ①
天界を歩いてみるとやっぱり天使がちらほらと。
完全に廃れたわけでもなくまだ町としての機能はある。けれど、本当に人数が少ない。神がいなくなったことにより天使は少なくなったんだろうか。
「天使って少ないね。これも神様がいなくなったことに関係が?」
「はい。神に見放されたことにより自殺することが多くなり減少し、今の人数となりました」
自殺……。
「我ら天使にとって神は絶対的存在であり、なくてはならないものです。その神に見放されるのは天使としてダメなことなのです。よくいえば神への忠誠心がいい、悪く言えば依存しているということです」
依存、か。
神に依存しているからこそ神に見放された途端絶望を感じるんだろう。それを踏まえるとちょっといらついてくるな。天使に。
自分たちで神に見放されることをしておいて何を言うか。
ルシファーを追放したらそうなることは予想できたんじゃないか? とか思ってしまう。
「……事実天使は神の加護があってこそ役割を全うできる。我も神に依存している人間だ」
「ルシファー?」
「だから……どうか我を見限らないでほしいのです。役立たずでも、役に立てるよう努力いたします。神に仕えることこそ天使の使命。我はもう仕えるべき神をなくしたくないのです」
……それは、嘆願だった。
切実な願い。神を失うことは天使にとって辛い。依存しているとわかっていても頼らざるを得ないのかもしれない。
私は、もちろん手放すつもりはない。
面倒を見るからには最後まで見るんだよ。
「見限らないよ」
「……その言葉を聞いて安心しました」
「ルシファーはほんとくそまじめだな!」
ミカエル。うるさい。
「あ、あのミキ様。私も……いいですか?」
「ガブリエル。普通の話し方でいいよ。もっと砕けてよ」
「は、はい!」
「まあ、いいよ。私の力が必要なら……」
本気出せるのならいいでしょう。
「では契約をしましょう! 私ガブリエルは精霊の創造神ミキ様と契約いたします!」
「私も! 私もやります!」
「私もやりますよぉ」
「我もやろう」
「えっ、あ、やる流れなの? じゃあ私もやるぜ」
《四天使との契約を確認。完了。イベントが発生します》
《ワールドイベント:天使の夢宴 が発生しました》
《全プレイヤーは天界に行けるようになりました》
《クエスト成功条件は天界の復興です》
……は?
突如聞いたアナウンス。ワールドイベント……? えっ、あっ、いや?
すると、チリンを含むフレンドから一斉にメッセージが届いた。
『ねえ!? なんかワールドイベントのアナウンス! 天界行けるようになったの!? まじで!?』
『ワールドイベント……。やるしかねえんだろうけど……ミキはさすがだ』
ごめん。ワールドイベントになるとは思ってなかった。
多分私だけなのかなー、普通のクエストかなーって思ってたけどまさかワールドイベントになるとはね。いや、なんとなく予想できた結果なんだよ。予想してなかっただけで。
「……とりあえず、天界の復興でもしましょうか」
「いいのですか!?」
「いいよ。とりあえず人間界からもくるからその人にも手伝ってもらう」
「わかりました!」
クエストは受けるか受けないか選べます。
イベントはスキップできなく強制に受けることになります。