天空に聳え立つは大きな廃町 ②
目の前に見える町は元天界だという。
ルシファーは懐かしいように見ている。恨みはないのかは知らないけれどふるさとであるという事実はゆるぎないんじゃないだろうか。
「天使の気配はある。まだ完全に廃れたわけではなさそうだ」
といってルシファーは街に繰り出しに行った。
私たちもそれに続いて天界に入る。地面に着地し、辺りを見回してみた。天使の羽根をもった人はたしかにいる。少ないけど、いる。
「天使だ」
「いるんだね」
マーヤとそういう会話をしていた。
「ねえルシファー。君がいた時代よりどうだい?」
「……よくはなっています。みんな平和に暮らして……。あの時のことがなかったみたいに」
「そっか」
「私は、まだ知りたい。神よ。我のわがままだということは承知の上ですが少しばかりお暇を……」
「いいよ。私もちょっと天界のこと気になるしルシファーも存分に調べなよ」
そう許可してルシファーは去っていく。
「……私も単独で探す。何かあったら呼んで」
といってマーヤも去っていった。
ふむ、まあ、まず何を調べるかと言うと天界の歴史とかかな? 本屋ってないのかな。大抵歴史というのは伝記とか日記、絵本に記されてるものだけど。
そして、ルシファーのこと。ルシファーは今どう扱われているのかも知りたい。
あった。本屋ではなく図書館が。
中に入ると書物がびっしりと棚に並べられていた。そのうちの一つを手に取る。内容は”天界の崩壊”というもの。著者はガブリエル……。ガブリエル?
おかしい。なんであるんだろう。天界にこれがなんで? 天界の崩壊ってことはその時まではいた……。ってことなんだろうけど、だけどそれは。私が知っている事実と矛盾している。
「ガブリエルもラファエルたちと一緒に消えたはずじゃ……」
「消えてないよ!」
「そうなの?」
と声をかけられたのでそう返したのだが。
え? 天使が一人話しかけてきていた。
「それよりあんた、ラファエルっていった!? ラファエルどこにいるか知ってるの!?」
「ん?」
「あ、自己紹介遅れたね! 私はガブリエル。才能あふれる作家だよん!」
……目の前にガブリエルさんがいました。
「それよりラファエル! どこにいるの? 音沙汰もないんだよねー」
「いや、ラファエルさんなら結構前なので……」
「それでもいいよ! あいつそこに結構居座るタイプだし!」
なら……。んー、どこでだっけなあ。
第二層エリアか四層か、一層のどれかだったような気がするけど記憶が定かじゃないな……。
「始まりの街……かな?」
「始まりの街! おっけい!」
「それよりガブリエルさん。なぜあなたが? 貴方は話によるとラファエル、ミカエル、ウリエルさんたちと一緒に天界を……」
「あー、それ聞きたい?」
もちろん。気になりますから。
「私、気になります!」
「おっけい! じゃあその時の愚痴を話させてねえ!」