初心者とミキ ②
目の前には禍々しい服を着ているトロフィさんがいる。
横にはザ・勇者って感じの人と……っていうか王全員揃っているらしい。どうやら新しい王ができたからそのお披露目として……。
で、その新しい王なんだけど……。
「あれモデルの中村 真綾じゃね?」
どうにもモデルの中村 真綾にそっくりだ……。
「似てるな」
「似てるっていうか本人だろ」
でも、有名人がこんな顔出しするか? やるとしても顔を隠したりとかしないのかな? こんな堂々と顔見せて騒ぎにならないのか?
いや、他人の空似っていうか、別人かもしれない。そっくりさんだってこの世に入るわけだし……。
「鳥王となったマーヤだよ。みんな久しぶりに見る感じかな?」
「まあ、イベントでしかまだ直接かかわってないからな」
イベント?
俺たちが首をひねっているとトロフィさんとつないでくれた人が説明してくれた。
「前に雑誌とコラボイベントがあってそれでマーヤがゲームし始めたんだよ。モデルとしてね」
「本物のモデルなの!? じゃあマーヤさんってあの中村 真綾!?」
「ガチかよ! すげえ!」
本物だった! 妹が真綾のファンなんだよ。俺も見てちょっと惚れてる。冷酷な目が逆にたまらん。いつもクールそうだっていう感じ。クールビューティ。
女王様って感じがしてたあのモデルさん。やべえ、本物だ……。
「……あまり騒がないで!」
と注意されてしまった……。
仕方ないので黙ってることにした。トロフィさんの用事が終わるまで待っていよう。それまで開始直後適当に話しかけたらもらえたこの地図でも見てるか。
うーん。なんか宝の地図っぽいからなー。雲の上とかどうやっていくかわかんないし雲の上に城なんてあるのか? あれか? ラ〇ュタか?
「これってどういくのかなあ」
「無難に飛行機とかか? だとしてもこのゲームにあるかがわかんないが」
俺たちが宝の地図を眺めていると隣から声をかけられる。
「……それはなんだ?」
トロフィさんだった。
「あ、なんかもらった宝の地図? です。天空の城……とか書いてるんですけど……。みなさん知ってますか? 何気に初情報だったら嬉しいけど、なんて……」
みんな固まっていた。
「……天空、ね」
「ミキ。いくのか?」
「もちろん。マーヤ、行く?」
「しょうがないから行ってあげる」
と女性二人が行く気満々だった。
……ミキ?
「えっ、ミキさん…って」
「ん? あ、私だよ?」
…………。
要注意人物だった人に案内してもらってたの!?
「ごめんね。その宝の地図売ってもらえる? お金は払うしなんなら豪華特典も付けるよ」
一番のトップだっていうプレイヤーの豪華特典とか滅茶苦茶気になるだろ……。
はい。言い値で売りました。いや、どうみても俺らにはいけねえし……。で、もらった豪華特典はというと。
フレンド申請とランダムスキルの書。
おおう……。
運営を完全に潰しにかかるミキの運。だからあれほど隠し要素はやめておけと……。