ミキが死んだ一つの理由
第二層の敵はどれも機械だった。
メカウサギだの、狂った機械だの。さすがは機械仕掛けの町、とでもいうべきなのだろうか。まあ、雑魚敵だから余裕綽々とはいわないけど倒せるレベル。
それに、ゴブリンキングを討伐したからレベルも15くらいまでには上がったしね。
そして、第二層エリアにもとうとう人はやってきた。
未知の第二層エリアに、人は、たくさんやってくる。そのうち人でごった返しそうだなあ。
「……お腹空いたな」
気が付くと、お腹が空いたような感覚があった。
ぎゅーっと締め付けられるような感覚。ゲームでもお腹は減るのだろうか……。とりあえずログアウトしてご飯でも食べ……いや、さっき昼食食べたんだよねえ。知らぬ間にくいしんぼうになってるのかな……。
……お腹空いた。
「……大丈夫ですか? 顔色悪いみたいですけど」
「あ、えっと、だいじょ、うぶです。はい」
心配そうな顔をして声をかけてくる人もいる。優しいけど、なんでもな……。
そのとき、私は、地面に倒れてしまったのだった…………。
目が覚めると精霊樹の前に私はいた。
こういうの、なんていうんだっけ。リスポーン? ということは、私死んだのか……。
「原因は何だ?」
町の中ではPKはできない。だからPKという線ではまずありえないだろう。
「だとすると、なんかステータスが悪かったのかな? 知らぬうちに状態異常とかに……」
いや、メカウサギとかは状態異常を付与してくる攻撃なんてしてこなかった。
じゃあ、なんだろう。究極まで突き詰めたリアルフィクションを謳い文句としているこのゲームでは現実ではありえない死に方なんてまずないだろう。
現実での死に方をまず考えてみるか。
毒。これはオーソドックスだ。
ナイフ。刺殺に使われる奴だな。
銃。凶器だ。
首吊り。自殺の方法としてはメジャーだな。
飛び降り。まあ、これもメジャーだ。
餓死。食料がなくて飢えて死ぬという悲惨な死に方。あるとしたら餓死――
餓死か?
す、ステータス!
――――――――――
Lv.15 ミキ 種族:精霊王 女性
HP:79/79
MP:267/267
満腹度:100
ちから:13
まりょく:302
ぼうぎょ:19
まほうぼうぎょ:299
かしこさ:311
きようさ:109
すばやさ:201
【スキル】
・全属性精霊魔法Lv.10 ・精霊の眼 ・精霊の祝福 ・精霊従属 ・フラッシュ ・落とし穴Lv.3 回復:小
【その他】
・精霊王 ・七つの王様 ・鑑定
――――――――――
気になるポイントは二つ。
一つは、満腹度。もしかしてこれが0になったら死ぬのでは……。な、なるほど。どうりで街の中に料理店があったわけだ。金の無駄遣いだろと思いつつ通り過ぎたけど……。
だとするとなんか嫌だなあ。最初の死に戻りが餓死って……。
まあ、それはいいや。
で、次。七つの王様とは?
ああ、たしかアナウンスで新たな王が追加されたとか。その種族はわからないままなんだけど……。新たな王とは?
それに、まだアナウンスがないってことはまだ手に入れられているわけじゃない。
早く、その人と出会いたいものだ。他の種族の王とは魔王以外はフレンドにいるし……。魔王もどんな人かわかんないけど多分私たちが揃ったら敵じゃないよね!
「……まあ、とっとと第二層に向かおうかな」
考え込んでしまった。早くいかねば。