転生の書 ②
マーヤはランダムを選んだとのことだ。理由はワクワク感がたまらないとか。冷静なマーヤにしては随分とテンションが高い。
なにか憧れでもあるのだろうか。
「……ステータス見して?」
「わかった」
と、見せてくれる。
――――――――――
名前:マーヤ
性別:女
種族:鳥王
……(略)……
――――――――――
……は?
えっ、いや、なんで? 思わずステータスを二度見した。鳥王ってなってるよね? 間違いじゃないよね? え、一発でひいたの? 運良くない? ねえ。
「……王になってる!?」
「……本当だ。なれたらいいなっていう感じだったんだけど」
「まじかよ……」
これにはみんな言葉も出なかった。
なにせ目の前に王を引いた豪運がいるんだから。いや、私もなんだけどね。これで我がギルドに所属する王は五人。私、マシュマロ、ニル、マグダッド、マーヤ。
……戦力過多ァ!
「なるほど。翼も生やすことは可能」
と、マーヤの背中から私のような翼が生えてくる。鳥王というだけあり鳥のできることはできるみたいで。飛んでと言ってみたら飛ぶことができていた。
飛行スキルを生まれながら保持している種族。正直羨ましい……。
「なるほど。これはいい」
自分の翼をうっとりと眺めるマーヤ。
マーヤのキャラが違うような気もするがどうなんだろう。今日に限ってテンションが高い。ソゥ様に聞いてみることにした。
「マーヤテンション高くないですか?」
「あー、ちょっと嬉しいことあったからねー」
「嬉しいこと?」
「マーヤが人気モデルナンバーワンに選ばれたんだよ」
そりゃ嬉しいよね。
納得。今日はその高揚感が抜けていないっていうところか……。珍しいマーヤを見た気がする。そして、マーヤがすごいと思った。
本気で王を引くと思っていなかったしね。
「……私も転生の書手に入れる!」
「私も」
そして、みんなが決意する。
ただ、運営のことだからそう簡単に転生の書は渡してくれないだろう。今の状況みたいなことがあったら困るからね。迂闊に転生させられないよね。
そんなに困るならなぜ実装したし……。
「あと残る王は一人だけか……」
第四陣もそろそろ来るという話はあるし、もしかしたら第四陣で取る人がいるかもしれない。ただ、結構な低確率だからなあ。ワンちゃん宝くじ当たるより難しそうだ。
ただ、私みたいな豪運の持ち主ならまだある。
……王をスカウトしに行きたい。けど、もう多いから自重しとこう……。