欲望は暴食。悪魔だろうが食い散らかす ②
「我が主はそこで眺めていろ。すぐに終わらせる」
といっていたので私は戦わずベルゼブブの戦いを見守ることにした。
ベルゼブブは一気に距離を詰め悪魔喰いを殴る。だがしかし、効いていないかのように平然としているのだった。
あれだ。これはあのシステムだ。かつて第四層で精霊を苦しめたのではなく王を苦しめた耐性システム。悪魔耐性があるんだろうな。
となると、ベルゼブブものすごい不利だ。
「ルシファー。ベルゼブブがピンチになったら彼の反対を押し切ってでもやるよ」
「かしこまりました」
私はルシファーにそう指示を出す。
限界まで戦ってもらう。無理ならばいやでも私たちがやるということ。正直相性が悪い敵だからね。悪魔耐性とかいうものあるし。
ただ不思議なのが精霊喰いって前いたけどそいつには精霊耐性ってないような感じだったんだよなー。
「腹が減ったぞ我はぁ! 貴様は我の血肉となるがいい!」
「ブォォォ!」
まずいな。
完全によけきれずダメージを負ってきている。相手には悪魔特攻もあるんだろうか、ベルゼブブの体力の減りがものすごく早い。
こりゃ早いうちに参入した方がよさそうだ。
「ルシファー。やるよ」
「かしこまりました」
私とルシファーは駆け出していく。
ルシファーは手製の剣でイノシシを切り裂く。私は精霊魔法で応戦をする。やはり耐性がある! 私たちの攻撃は普通に通っている!
「我が主! 邪魔するなと……!」
「無理。こいつ、ベルゼブブとものすごく相性悪いもん」
「……だが!」
「死にたくないなら言うことを聞いて」
私は冷たく言い放つとベルゼブブは押し黙る。
いい子だ。
「それにしてもなんでこいつ悪魔耐性と特攻を持ってるんだろう。悪魔喰いにはデフォルトであるのかな」
「いえ。それは違います。悪魔に耐性があるのは変異種だからでしょう」
「変異種……?」
「突然変異で生まれた個体です。厄介なスキルを持っていることが多いのであります」
「なるほどね……」
普通の悪魔喰いには悪魔耐性はないけど変異種だからあると。
厄介だ。
「あっ……」
腹が、減った。
そういえば、満腹度回復していない……!
私がぐらっと体勢を崩すとルシファーが近づいてくる。
「大丈夫ですか!?」
「う、うん。って、ルシファー後ろ!」
ルシファーは後ろから突進してくる悪魔喰いに突き飛ばされる。
私の満腹度はあと少しでなくなりそうだ。やばい……!
「……ふぅ。我が主。助けてくれたことを感謝する。我も我が主に応えなければならぬ」
すると、一気に満腹度が回復するのだった。
2%だったのが一気に80%にまで上昇。戦える状態となった。
「我は暴食。人の空腹など操作できる」
「なにそのチート」
となると、ベルゼブブがいれば空腹はたいして気にしなくてもいいってことなんだろうか。なにそれやばくね? ベルゼブブ超やばくね?
「だが、その代わり我の消費魔力が膨大になるがな……。空腹にするのはたやすいのだが満腹にするのは
やすやすとできるわけでもないのだ」
だよね。そんなうまい話ないよね。
だけど、助かった。ベルゼブブ。
「サクッと終わらせるか」
「かしこまりました」
そうして、見事勝利を収めるのだった。
耐性システム……!