ベルゼブブの魔界案内ツアー ①
魔界には魔物がいないといえばそうでもないし、何やら人もいる。
「おうおう魔界に何の用だアァン?」
いきなりメンチ切られました。
一昔前のヤンキーですか。イマドキそういうのはやんないよ?
「貴方は?」
「俺様か? 俺様はいずれ悪魔王となるヴァルハラ…」
「貴様には無理だな」
と、ヴァルハラの後ろからまた新たな人が登場する。
「悪魔王になるのはこの俺だ」
「あん? 俺に決まってんだろバカいってんじゃねえぞカスコラ」
「ふん。貴様こそ夢物語を語るのはやめないか」
と、目の前で殴り合いのけんかを始めた。
なんだこれ。何見てんだ私は。なんか昔のドラマみたいだ。いがみ合っている両者。譲れない戦いがここにある。俺が王になるために。
こういうナレーションありそう!
と、ちょっと一人で興奮していた。
「……見苦しい」
「邪魔だ」
と、ルシファーとベルゼブブが殴り飛ばした。
まぁ、君たち強いもんね……。
「我が神。道が開きました」
「我が主よ。まだ魔界は続くぞ」
殴られた二人は起き上がる。
そして、ルシファーとベルゼブブの二人を睨みつけていた。どうやら自信があるみたいだね。こりゃまたなんか言ってくるぞ~?
「よくも殴りやがって……! 悪魔を殴ったことを後悔させてやる!」
「舐めた真似すんじゃねえぞコラぁぁぁぁぁ!!!」
と、二人が走ってくる。
「調子に乗るな。三流悪魔が」
「貴様ら程度でこの私に敵うとでも?」
だが、ルシファーとベルゼブブの敵じゃない。
二人は返り討ちにしていた。
「我が名はベルゼブブ。かつての魔界の王だったものであるぞ。口を慎めド三流」
「我が神よ。貴方に向かう不穏分子は排除しました」
ベルゼブブかっけえ。惚れそう。
「二人とも行こう」
「ああ。まずは我が昔住んでいた居城にでもいこう。財宝がある」
「お、なかなか気がひかれますね」
私たちは飛んでベルゼブブの元居城に向かうことになった。
飛行スキルで飛んでいる。
「悪魔って結構いるねえ」
「いますとも。人間は欲深い。人間の欲の数ほど悪魔がおりますゆえに」
なるほど。そりゃ多いわ。
人間は欲深いってゲームにしてはなかなか核心つく発言するじゃないの。
「欲で生まれたのが悪魔で善意で生まれたのが天使だと神は言っている」
「あながち間違いじゃないがそれを言うなよ。悪魔が怒るからな」
ベルゼブブの忠告を受けていた。
「なに、返り討ちにすればいい。私は強いのだから」
「傲慢が……!」
そういえばルシファーも大罪の権化ですもんね。傲慢ですよね。
魔界への渡航の仕方は簡単。
悪魔と契約するだけ。終わり。