神殺しを狙う人殺し達 ③
圧勝。その言葉が似あうほどの惨劇。
殺人鬼の街。名前負けしている実力。これほどまでに手ごたえを感じなかったのもそう久しい者だったりする。
弱すぎて不完全燃焼っていうか……。
「さて、残りは貴方だけだよボス。今の気持ちを教えてほしいな」
「これで僕たちの勝ちは確定したね。ボスが強くてももう二対一。降参した方が身のためじゃないかな」
私とマグダッドで追い詰める。
殺人鬼の街ギルド長は怯えた目をしていた。
「あんな人数を二人でやったというのか! ば、化け物か!」
「化け物? 嫌だなぁ。僕らが化け物というよりそちらさんが弱すぎただけですよぅ。もうちょっと強いもんだと意気込んでたけど、なんか白けちゃったなー」
マグダッドは笑う。
「わ、悪かった! もうPKはしない! だからギルドの解散だけは……!」
「いやいや、途中で誓約破棄はできないよ。そういうものでしょ」
「この通りだ!」
土下座までしてくる始末。
どれだけ解散したくないんだか。この期に及んでまだ粘ろうとする粘り強さは認めるけれど、あまりにもしつこいとならば逆効果でしかない。
時には潔さも大事。
「ダメだよ。きちんと、制裁を受けてもらうからね」
「ひえっ……」
「もちろんこのことは運営にも言っておく。よくてアカウント停止で悪くてBANだろうけどね。幸運を祈るよ」
「……う、うるせええええ!」
と、逆上し襲い掛かってくる。
マグダッドは躱し、ナイフを首筋に刺した。その時のマグダッドの顔はとても冷酷な顔をしていた。
「自分の都合を押し付けんじゃねえっての……。こういう人間は嫌いなんだ」
それは憎悪に満ちた目をしていた。まるで昔の私みたいな目をしている。
「……柄にもなく逆上しちゃった。怖かったかい?」
「いんや」
「ならよかった」
怖くはなかった。ただ、憎悪を持つほど嫌なことがあったんだなって。私もあるからよくわかる。
《精霊の守護者の勝利を確認したしました》
《ギルド対抗戦を終了いたします》
殺人鬼の街はギルド解散を余儀なくされた。
ギルド長は暴れていたものの運営によりアカウントがBANされたそうだ。そして、マグダッドはいつも通り元気にクエストをこなしている。
それにしてもあの時の眼。
私も、マグダッドと同じ目をしていたとき、私は何を考えていたんだろう。
私とマグダッドの眼に宿るは憤怒。彼も何かあったんだろうとは思う。ただ、人の過去をむやみに詮索したくない。地雷踏んだら怖いしね。
……まぁ、私程度が解決できる問題じゃないと思うし、相談されたら聞くってだけにしておくか。