神殺しを狙う人殺し達 ②
廃墟の中に侵入した。
部屋の中に入る。すると、横に待ち伏せていたのだろう。剣を振り下ろされた。それをよけ至近距離で魔法を放つ。あいにく私は武術なんて得意じゃないんだ。せめてワンキルで沈めてあげる。
……この廃墟、なかなか私に適している。植物もある。地面も一寸むき出しになっているところもある。約束の地が使えるな。
「死ね!」
「どりゃあ!」
二人が一気に襲い掛かってくる。
私は霊体化を発動。物理攻撃が効かなくなったのだ。剣が空振り、相手は驚いたように剣を見ている。
「た、たしかに切った! なのになんでダメージないんだ!」
「それくらいで狼狽えるってまだまだだね」
PKとしての心得は非常事態にも落ち着き対処することも必須技能じゃないの? むしろ犯罪者ならそっちのほうが大事だと思う。
というか、なんでもそうだ。落ち着いて考えるというのが何よりも大事だ。ホットになるな。クレバーに徹しろ。私も熱くなるな。
「はい、終わり」
襲い掛かってきた二人をキル。
意外と早く終わりそうだ。
☆ ★ ☆ ★
僕は廃墟の中を駆け回る。
手にしている僕の能力で作ったナイフは自動追尾機能つき。敵対した相手に投げると勝手に追う優れもの。威力は期待できないけどね。
さて、どうやってミキさんの気に止まることをしようかなー。かっこいいところ見せたら好きになってくれるかなー。
ミキさんは僕を信頼してくれている。なら、その信頼にこたえるまで。
「PKするのには……もっと残忍に、冷酷に……。道化になるんだ」
僕が持つPKの心得を口ずさむ。
PKというより殺人鬼の心得かもしれない。道化になるというのがまさしくそれかも。だがしかし、相手は所詮雑魚PKギルド。
僕たちの相手ではない。
「こりゃ道化になるまでもないな」
僕はPKギルド自体はあってもいいとは思っている。
ただただ、このギルドはやりすぎだ。初心者狩りなんてやったらゲーム離れする人が増えるだろうに。中級者を狙うべきなんだよ。初心者はほどほどに。
まぁ、初心者狙うぐらいしか無理な下手なやつ共の集まりなんだろうけどさ。
「はい、次」
走りながら一人をキル。
下手。あまりにも下手すぎる。散々いきがっといてこれはないだろうと思えるレベル。最近できたばかりとは聞くがあまりにも低レベルすぎる。
というか、まだギルド自体まとまってない気がするな。烏合の衆って感じ。
「雀がいくら寄ろうとタカに勝てるわけがないのに」
片っ端からキルするのは間違いだ。
キルするのなら獲物を選ぶべき。僕たちPKは雑食ではなく肉食であるべきだ。草は食わず肉だけ食え。それがPKだ。
「実力、全然わきまえていないね。期待外れだよ」
僕は、冷酷に、そう言い放った。
初心者だらけのPKギルドが身の程を弁えないからこうミキが強そうに見える。強いんだけど……。