神殺しを狙う人殺し達 ①
ギルド殺人鬼の街。
私たち二人はホームに殴り込みに来ていた。もちろん物理的に……じゃなく、ギルド戦を申し込むために。
「……まじでいってんのか?」
「大マジですよ。ギルド戦、やりましょうよ」
この手の交渉はマグダッドに任せている。
マグダッドは笑顔を崩さず、ただただ条件を提示し、やろうよと催促をしていた。私たちがつけた条件というのは。
・ギルド戦で精霊の守護者が勝ったらPKギルドの解散
・精霊の守護者が負けたらミキ、マグダッドが殺人鬼の街に加入
・人数は問わない
これだけ。
まぁ、本当はつけなくてもいいんだけど、誓約をかわすことによって絶対とするだけ。もちろん相手もこの条件を飲んだらだけどな。
「悪いがやれねえ。こんな幼稚園児が考えたような誓約の条件を飲めるかってんだ」
「対価は十分魅力的では?」
「ああ魅力的だ。だけどこのギルド解散が痛すぎる。あんたら精霊の守護者の実力は知ってんだぜ。バケモンゾロいだっていうことはな」
「褒めていただいて何よりです」
マグダッドには何か考えがあるのかもしれない。
「なら、私たちにはハンデとして、この場にいる精霊の守護者のメンバーだけで闘うっていうのはどうでしょうか」
「……はっ。なめてんのか? この場っていうと二人だけだろ。他のメンバーは連れてきてねえよな?」
「安心してください。私とミキさんの二人だけです」
目の前の男は、不敵な笑いを浮かべる。
「ならいい。受けてやるよ。たかだか二人に後れを取るほどの俺らじゃねえしな。人数は問わねえってんだろ? ならいいさ」
そして、誓約完了。
これで絶対となった。そして、ギルド戦を申し込む。
《これよりギルド対抗戦が開始されます》
無機質の声が頭に響くと転送されるのだった。
そして、同時にチリンからフレンドメッセージが届く。内容はギルド対抗戦ってなに? っていう話。マグダッドとちょっと一つのギルド潰してくるといって、ちょっとだけ通知が来ないようにした。
今回の舞台は廃墟か……。こりゃまた相手にちょっと有利な……。
「マグダッド。死なないでね」
「命令とあらば」
マグダッドが死ぬと私の労力が増える。
この廃墟の中に、殺人鬼の街全員のメンバーがいると仮定する。ざっと何人になるだろうかは知らないけれどそんなに数は多くないはず。
ただ、それなりの実力はあるだろうな……。
「心してかかろう」
「了解」
私は、廃墟へと一歩足を踏み入れるのだった。
その瞬間、矢が飛んでくる。どこかから見ているな? 私はそれを避け、飛んできた方向と角度でどこら辺にいるかを推測。
木の上……じゃないな。廃墟の屋上。不意打ちに長けた人……。
不意打ちなんて見えたら意味がないんだよ。
「突入!」