一日の過ごし方~トロフィの場合~
カタカタとパソコンのキーボードを打つ音がする。
株式会社ジュエルスピッツの商品開発課長である日暮 東郎は災厄と呼ばれるほど成績を残していた。
彼が考えるものはすべてヒットしており、他の者が考えた商品はヒットしない。そのために妬みで災厄と呼ばれている。
彼はA2Oの名前ではトロフィだ。
所以は災厄=カタストロフィで、カタス……というよりトロフィという名前のほうを気に入ったからそうしたまでだったりする。
いつもの彼は物静かで、仕事人って感じだ。
仕事が終わり、家に帰る。
独身……というわけじゃなく、すでに結婚している身だったり。妻の名前は千秋。31歳と三歳年下の年下妻。彼は愛妻家であるし、彼女も夫を愛している。結婚十年目という割にはまだラブラブだ。
「今日のご飯は?」
「肉じゃが!」
「お、好きなんだよ。じゃあ食べよう」
「うん! ご飯よそうね!」
茶碗にご飯がよそわれる。
東郎は味噌汁をお椀に。役割分担をしている。もちろん千秋はいいよと言ったのだけれど東郎はこういうのは支えあうべきと家事の半分もこなしてくれる。
「いただきます」
肉じゃがを一口。
「うん、この味だ」
「……うんこの味?」
妻が何気なく言うと東郎はむせた。
「つなげて言うんじゃない。汚い……」
「ご、ごめん」
まったく。気を付けてほしいものである。
「食べ終わったら、やる?」
「いいぞ」
「おっけー!」
やる? というのは夜の相手……ではなく。
ゲームだ。A2O。千秋もやっていてゲーム内でも同じギルドにいたりする。最近千秋はどうにもロトに嫉妬しているらしい。
「最近ロト君と一緒にいるよね……」
「まぁ、あいつが誘ってくるからな」
「……私とは別行動なのにぃ」
「仕方ない……とはいわん。すまん」
「ううん。友達付き合いも大事だろうけど……ちょっと不服だなーっ!」
「今日は俺たちだけでやろうか」
「わーい!」
甘々すぎる。
「……ていうか、千秋。食べる量少なくないか?」
「……わかる?」
そらわかる。
ちょっとしか減っていないけど、少しだけ食べる量が減っていた。なぜなんだろう。ストレスだろうか。なんて考えてしまう。
「えへへ。実はね、妊娠したんだ~」
「ぶーっ!?」
思わず吹き出してしまった。
「けほっ……けほっ……。ほ、本当かい?」
「うん!」
喜ばしいことだ。
「……お腹の中には俺らの子供が……。なんていうか、これからのことを考えてしまうな」
「パパになるんだもんね。今のうち名前も考えておかなくちゃね!」
「気が早いよ。流産するという可能性も捨てきれないし、ここは慎重に……。俺妊婦さんのことあまり知らねえし力になれねえかもしれないけどよ。できるだけ産めるよう頑張ろうぜ」
「うん。そうだね!」
彼らの未来に幸運あれ、とすべからく願うばかりだ。
二人目はトロフィでした。
前回とは違ってものすごく日常ですね。自分こういうの書いてるとちょっと落ち着きます。
で、二人目書いたわけですけど……。
マシュマロ、プギー、マグダッド、ニル、ロト、ガガトツはどうしましょうか……。