一日の過ごし方~ミソギの場合~
誰もミキのリアルとは言っていない。
目の前にいるのは駄弁っている女子高生。
その中に王がいる
――というわけじゃなく王はその横を通り過ぎていった。
「ふふふ、次の心霊スポット……」
黒島 禊。現死神である彼女は華のJKだ。だがしかし、趣味は心霊スポット巡りで大のオカルト好きという点に関しては女子高生らしくもないし、周りからは東洋の魔女というバレーをしていないにも関わらず呼ばれていた。
「ふふふ、死者の怨念が私に憑りついて……! 幽霊と共にいれる幸せ……」
もちろん幽霊のほうが怖がって憑りつこうとしないのだが。
幽霊の中では「あの子に憑りつくくらいなら霊媒師に祓われたほうが幸せだぞ」なんて会話が行われていたり。
もはや幽霊より不気味であり怖い存在となっているのには気づいていない。
彼女は、趣味に没頭していた。
彼女の一日は学校から帰ってA2Oをして夜中近場の心霊スポットで瞑想。そのまま家に帰って寝るというサイクルで行われている。
親からは幽霊を連れてきそうだからやめてほしいと頼まれているが自分の趣味だからと無理におしはねている。
ただ、彼女自身除霊もできるので問題はない。
自分のステータスを幽霊に全振りしてるかのようで。
彼女自身に霊感はもちろんある。たまに見えたりする。
「……く、黒島さん!」
「なぁに?」
そんな趣味をしているからか誰も近づかなくなる。当たり前のことだ。
珍しく声をかけてくる人がいる。目の前の小動物を匂わせる女の子がぷるぷる震えながら書類を渡してきたのだった。
「これ、先生からです! それじゃ!」
逃げていった。
禊は書類に目を通す。なにやら進路希望調査だ。
もちろん何になりたいかなんて決まっている。趣味を仕事にするのはよくないというが、彼女は趣味を仕事にしてもいい自信がある。
第一候補に霊媒師。
第二候補に心霊研究家。
第三候補に心霊作家。
と、見事にホラー系でしかなく。それを受け取った先生の顔もこれまた微妙な顔をしていた。
「今日は雨……か。心霊スポット巡りは今日できないな」
ならばと、家に帰り、カーテンを閉めてテレビをつける。
彼女がするのは映画鑑賞。それも、ホラー映画。ランタンを雰囲気を作るためにおきそれを明かりとする。そして、映画を見るにあたって必要なものを準備する。
飲み物であったりつまむものだったり。また、ホラー映画を見ると熱中して熱をだしてしまうため頭に冷えピタを貼る。
そして、あらかじめトイレを済ましておき、いざホラー映画鑑賞だ!
……黒島 禊。もとい、死神ミソギの過ごし方はこんなものである。
被害者の証言
Hさん「私が高校の三階のトイレに潜んでいた時に突然私の名前を呼んで…。チャンスだと思ったわけですよ。ええ。だけどそこにいたのは笑顔の少女でオーラがおぞましく…ついつい逃げて来ました」
Kさん「あいつうちを呼び出してわざと取り憑かせたんよ。なのにあいつに不幸な目に合わせると恍惚としてるねん。気味悪ぅなって自ら出て行ったわ…」
Kさん「夜道で私の顔について尋ねたの。そしたら綺麗っていうから私の本当の顔見せたの。そしたら笑顔でお揃いですねって…。あなた同族なのとは口が裂けても言えませんでした。口裂けてますけど…」