第六回イベント ②
「いざ、開戦の狼煙を上げろ! 不惜身命。この命を惜しむものか! 命を投げ捨てなければ勝利はない! 我らの生活を脅かすもの、決着の時が来たようだ!」
と私は言ってみる。
なにか士気が上がるような言葉をと言われてもね。なんとなく戦国武将っぽいことを言っておけば大丈夫だろうとね。
不惜身命というのは結構好きな言葉でもあったりする。
「さぁ、狼陣営が見えてきた!」
今日は吹雪いておらず快晴だ。
雪中軍。まっさきに向かってくるのは一匹のオオカミ。白い体毛をしている。雪に紛れ込ませようとしているのだろうか。斥候というわけか。
面白い。
「斥候のお出ましだ! 直ちに迎撃! 少数でいい!」
私が指示を出す。
で、あとはあちらの本隊の侵攻を待つばかりだ。
陣地を取られたらおしまい。ベアンを倒された瞬間に敗北が確定するらしい。逆にこちらは相手戦力をすべて削るか、ウルフェンをキル。
私にとっては侵攻のほうが楽なんだよ。護るより。
「……マシュマロ。今すぐミソギのところに向かえ!」
「わかりましたぁ!」
ミソギは放置してはいけない。
状態異常は厄介だ。余計なアイテムを使わせたりするし、戦力が削られてしまうから。だから機械であるマシュマロ。
マシュマロは敵軍へかけていく。
それに続いて何人か向かわせた。
「さーて、マグダッド。トロフィだけを引き寄せるだけのことをしてみるかい」
「作戦はあるかい? ないなら独断でやる」
「ない。任せる」
「おっけい! 任せるほど信頼を置かれてるのは嬉しいねえ!」
ま、強いからね。
さて。
ロトは、前相手したときと変わっていなければそれほど問題ではない。プギーもそれほどだろう。マグダッドは自ら難しいのを選んだわけだ。
楽をさせてもらいますかね。
「おらあ! 殴り込みだああああ!」
と、一人の獣が。
獣王ガガトツ。やっぱり来るか。
「ニル。相手頼んだ」
「わかりました」
「暇があったら手伝う」
多分ないと思うけど。
私の場合は即座に相手を倒さなくてはいけない。指示を聞かれでもしたら相手に筒抜けだからな。ロトとプギーは速攻排除。
「よし、いくか」
私は、飛行スキルで敵軍へと向かっていく。
さーて、ロトの姿は。
……とりあえず邪魔くさい。
「”約束の地”」
地面が変形する。
プチ雪崩でも巻き込まれるがいいさ。地面に穴をあけた。そこに雪が崩れていき、プレイヤーが巻き込まれていく。この中にロトが紛れ込んでたら僥倖。
そんな現実は甘くない。
「飛べてよかったですぅ。ロト大丈夫ですか?」
プギーが助けていた。
「だがそれはそれでナイス」
空中ならば戦力が大幅ダウンだ。
プギーは勇者を抱えてなんて戦えないだろうし、勇者ロトも空中での戦いは知らないだろう。圧倒的有利。
この機を逃すわけがない。
「じゃ、またあとでね。”サウンドボム”」
風魔法に音をたくさん詰め込ませたもの。
プギーではなく勇者に向けて放つ。勇者に当たったとしても爆風できっと倒せるだろうから。
《プギー、ロトの脱落を確認しました》
よし。ラッキー!