vsルシフェル ①
さぁて。ここからが問題なんだ。
堕天使ルシフェルが私と会ってどのような反応をするか。会ったことがあるとかそういう類の反応を擦ればきっとチリンは気づく。
できるだけ姿を見せないほうが……。
「さて、行くよ」
ドキドキワクワクしているチリンが扉を開ける。
中には、ぽつんと堕天使ルシフェルが突っ立っていたのだった。こちらをみて笑みを浮かべる。にやりと笑い、手を叩いた。
「君はこのダンジョンを解くことができたんだ」
「へぇ。なかなか運がいいね。このダンジョンでは僕のところにはあまり来ないと思っていたけどまさかこんなに早く来るとは思っていなかったよ」
ルシフェルは笑っていた。
「それに、後ろには悪魔と天使を連れて神……。ミキ様?」
げっ。
チリンがこっちを向く。
「だ、堕天使ルシフェルめ! こ、この私が退治してくれよー!」
「……いまいち状況がわかんないけど、かかってきなよ!」
そんなこんなでルシフェルとの戦闘が始まった。
ただ、このルシフェル。ものすごく強いのだ。私が作ったボスモンスターのために私の能力がついている。魔力もけた違い。MPもものすごくあるし、劣化版私と言っても過言じゃないボスモンスター。
こりゃあルシファーも苦戦する。
「先手は僕がもらうよっ♪ 大地は僕のものだ! ”重力”」
と、私以外に重力がかかる。
ルシフェルは私にだけはかけていない。ただ、かかってるような演技でもしておこうか。
「どこまで耐えられる? まずは10倍からかなぁ」
と、チリンの体ががくんと下に下がる。
「重い……!」
「うーん。天使たちはまだ大丈夫かー」
ルシファーとベルゼブブは普通に立っていた。
ルシファーは翼で飛び上がる。が、すぐに墜落するのだった。
「ごめんね? 重力操作は大の得意だから。君にかかる体重は一千倍にさせてもらうよ」
と、地面にめり込むくらい重くなっている。
この場合の対処はというと。重いのなら動かないで打つ魔法が有効なんだよ。躱すことはまず無理だからとりあえずゴリ押すというのが戦法だし、近衛職とはなかなか相性が悪い。
「ぐっ……。これだから天使という者は嫌なんだ……!」
「そんなぁ。同族どうし仲良くしようよぉ~」
にやついた笑みを浮かべる。
「”飢饉の呪い”」
ベルゼブブが唱えると、ルシフェルの態度が一変する。
ルシフェルは腹部を押さえていた。
「……お腹、空いた」
「効くのだな。ならばもっと空腹にしてやろう。最終的に待ち構えているのはなんだかもうわかっているだろうがな」
どんどんと元気をなくしていくルシフェル。
だが、踏ん張った。
「なんの! ”無重力”」
ベルゼブブの体が浮き上がる。
「なっ、なんだこれは!」
どんどんと浮かんでいくベルゼブブ。とうとう高い天井にまで頭が付いた。
「知ってるかい? 重いと、速度が増すんだよ」
「き、貴様……!」
「”重力” 一千倍!」
勢いよく落ちてきた。
ベルゼブブは地面にめり込んでいる。起き上がることはない。死んではいないけど瀕死状態になっていた。
動けないルシファーとチリン。ここからどうするつもりだろうか。
ミキが作った時点でそううまくいくわけがない。