とんかつを作ろう ④
卵は一応私のほうで使う分は持ってきたし、いざ作るとしましょうか!
まずは肉を叩きます。肉叩きを手に持ち、とんとんとんと叩いていく。こういうのは絶妙な力加減があるんだよ。旨くするにはね。
とんとんとんとん……。
誰もいない私の部屋で静かに肉を叩いていた。
なんか、静かだなぁ……。他に誰もいないのかな。誰も訪ねてくることはないし……。なんだかちょっと寂しい。
だがしかし、手は止めない。
肉を叩き終わり、次にするのは肉に小麦粉をまぶす作業。
小麦粉→卵→パン粉の順で付けていくんだっけな。パン粉は多くてもだめだし少なすぎてもだめという。なかなか見極め力が必要だね。
小麦粉をまぶしていく。
私、ルシファー、ベルゼブブ、ローイ、ユキショウグンの計五枚。
そして、全部つけ終わり、今度は油に投入するんだけど、油がまだ温まっていない。もうちょい温めないとねえ。
その間に千切りキャベツを用意! 細かく千切りするほどシャキシャキ感があるって漫画でやってたなー。包丁そんなうまく使えないからできるかなー。
とりあえず、やってみないことにはわからない!
キャベツをまな板の上に置き、そして息を深く吐く。
「よしっ!」
千切りじゃあああああ!
千切りを終えて油も十分に温まった。
とうとう油にプットインするわけだけど。このゲームってどこまでがリアルなんだろう。油が汚れたりとかしないのかな。
まあ、ゲームならではのご都合主義にかけてみるかー。
いざ、投入!
「ぽーいっ!」
じゅううううと音を立てて揚げられる。
「ただいま戻りました! ミキ様!」
「戻ったぞ! さぁ、とんかつとやらを……!」
「今作ってるから」
ちょうどよくルシファーたちも帰ってきた。
揚げたてアツアツを食べてもらいたいからね。
さて、同時進行で作ってる味噌汁はーっと。うん。美味しい。
そして待つこと数分。
「もう、いいかなー」
パットにカツをあげ、立てる。
漫画だとこうしたらべちゃっとならないらしい。まぁ、すぐに盛り付けるから意味はないんじゃないかとは思うけどね。
とんかつを包丁で切り、皿に盛りつける。
白いご飯をよそい、味噌汁をテーブルに並べた。
「おいーっす」
「きました!」
そして、ローイたちも来たので、いざ、実食!
私はアツアツのカツの一切れに粒マスタードをつけてソースをかけて齧る。うん、この豚肉の油がいい。味もきちんと感じられるってすごいなこのゲーム。
熱いし、美味しい。感覚がすごいなぁ。
こりゃご飯も進む。
「ほんとにとんかつ定食だ」
「カツ丼にしてもこれうまそうっすねえ」
いいねえカツ丼。
「……美味い」
「神の味だ……!」
そこの大罪の権化は泣いていた。
泣くほどですかね?
「今まで食物を食べていたが加工することによってこんなに……! 面白い! 気に入った! 俺様もミキ様の仲間になってやろう! そして食べさせてくれたまえ!」
《ベルゼブブが仲間になりました》
ですよねー。なんか想像ついてましたよ。
天使ならずも悪魔すら従える神ってなんだ……。というか、ベルゼブブ! お前悪魔だろ? もっと人間に仕えるのが嫌だとか言うプライドはないのかよ! ルシファーもなんか言いなさいよ!
「ありがたや。神の恵み。私は忘れませぬこの気持ち」
「うめえ!」
……とりあえず、配下二人目ゲット。
微妙な気分だ。
とんかつ作るだけで配下を増やせるやつはどこだ?
ベルゼブブを仲間にする条件:美味しいものを食べさせる(手料理限定)
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