慈愛の天使ラファエル ①
ここは、どこだろう。
俺は真っ暗な空間にいた。静かではなかった。水が一滴ずつ落ちていくような。そんな音がする。なんだろうかこの空間は。
「よく来ましたね。異邦人であるパトラさん」
と、俺の目の前には翼が生えた女の子が一人立っている。慈悲深い笑顔だ。
「私はラファエル。天使です」
「て、天使？」
「はい。私はあるお方を探しているのですが……。あなたなら知っているかと思いまして……。突然すいません。教えてくれたら返しましょう」
という。
ものすごく困惑していた。
「もちろんこちらのご都合なのでお詫びも致します。どうぞ」
と出されたのは天使の羽根。
効果は……。ＨＰとＭＰの全回復にステータス微上昇というものすごい効果のものだ。
「は、はぁ。で、俺に聞きたいことって？」
「ルシファーの居場所です。ルシファーの場所、知っていますか？」
ルシファーって、堕天使ルシファー。
天使はルシファーを排除しに来たのかな。今フィールドには大罪の権化たちが徘徊しているし一人排除してくれるなら助かる。
だけど居場所なんて……。掲示板だとレヴィアタンに会っただとかベルゼブブだとか。その情報がいっぱいあるけどただ一つ。ルシファーの情報だけがまるでない。
どこにいったか探す人もいるらしい。
「すいません。わからないです」
「そうですか……。ありがとうございました」
といって目の前の光景が変わった。
さっきまでいたところだ。
「うわぁ！？ 突然現れた！？」
「我が神を驚かせるとは……！」
と、いきなり隣の天使の人が腕を振りかぶる。
待って待って！ 殺される！ いきなりキルされるんだけど！？
「待ってください！ 驚かせたのは悪かったですごめんなさい！ だからキルしないで！」
「そうだよ……。驚いただけなんだからキルしなくていいよ……。というか、むやみに襲わないって約束したじゃん……」
「はっ。破ってしまい申し訳ありません神よ」
ほっ。キルされずに済みそうだ。
……って、両方翼生えてる……？ プレイヤーで翼生えてる人は一人だけじゃん！ ミキさんだ！ この人ミキさんだ！
初めて生であった……。
……だけど隣の人は誰だろう。
「ミキさんですよね！ 生で会えた！」
「あ、う、うん？」
「俺パトラっていいます！」
「よろしくね。パトラ」
「はい！」
ミキさんと挨拶は済ませたんだけど、問題は隣だよなぁ。
「……そちらのかたは？」
「ん？ あ、ルシファー。仲間になったんだ」
「……人間如きに挨拶はしない」
そっかルシファーさんかー。
……え？
「る、るる、ルシファー！？ 傲慢の！？」
「どうしたの？ 殺したりはしないはずだよ？ ね？」
「我が神の望みならば」
「そうじゃなくて……。さきほどラファエルさんからルシファーさんの行方を聞かれたもので……！」
そういうと、ルシファーさんがこちらに近づいてくる。
顔が近い！ っていうか胸倉掴まないで……。
「詳しく聞かせろ」
「は、はい！」
素直に頷くしかないでしょ……。
