天界がどうなったか
我がギルドに堕天使ルシファーが加入した。
……何言ってるかわからない? 安心して。私もだからさ。
「ルシファーを仲間にいれるとはさすがじゃのお!」
と、隣では笑いながら煎餅を齧っている邪神ちゃんと。
「噂にゃあ聞いていたが実在したとは驚きだ」
驚いた顔でゴエモンさんが立っていた。
ゴエモンさんは偶然街で見かけて声をかけてきたので会話していると邪神ちゃんがやってきてルシファーの様子を見に来たらしい。
「カーリ様。教えてくれませんか? 私が天界から堕ちたあとのことを」
「ふむ、いいぞ!」
なにそれ気になる。
「まずルシファーがいなくなって、四天使が天界を去ったのじゃ」
四天使?
「ガブリエル、ラファエル、ミカエル、ウリエル。その四人が去ったことにより天界は大騒ぎ。崩壊は免れん状況だったわ」
聞いたことあるなぁ。
「秩序を守るミカエルがいなくなり、癒してくれるラファエルが去り、天界の保全をするウリエルが行方知れずになって、神様からのメッセージを届けるガブリエルがいなくなって神は天使長を責めた。天使の長はそれはもう滑稽だったのじゃ」
笑いながら話す邪神ちゃん。真剣に聞くルシファー。ルシファーの顔はどこか嬉しそうだった。天界が崩壊したのが嬉しいのかもしれない。
自分を追い出した天界が滅ぶのは望んだことだったのだろう。
「新たな天使を纏める熾天使もでてきた。が、その子らも厄介で自分は器じゃないと言い出したのじゃ。で、無理やり任命するもそいつらも去った。もはや天界は滅ぶ以外には道はなかったのじゃ」
「……そこまででいいです。ありがとうございました。カーリ様」
と、深々と頭を下げた。
「……のぉ、ルシファーよ」
さっきまで笑っていた邪神ちゃんが真顔になる。
それはまさしく神の顔で。いつもより神々しかった。私とゴエモンは思わず息をのんだ。
「お前は、嬉しいだろう。だが、お前は本当に望んでいたことか?」
「……なにがでしょうか」
「天界の崩壊。これは神にも大きな震撼を与えた。使える天使がいなくなったことにより神様は苦労している。神に仕える気持ちがあるお前に、この事実は辛くないのじゃ?」
「……神様にご不便をかけたことはものすごく申し訳ないです。ですが、私は。私は神がどうなろうと天界の崩壊は望んでいました。きっと神様ならばなんとかしてくれると信じていました」
「……なんとかなっているがルシファーよ。神様ならなんとかできるというのは大間違いじゃよ」
「……え?」
「神様は全知全能であっても有能ではないのじゃ。あらゆることができてあらゆるものがわかるとしてもそれはあくまで知識だけ。心まではわからぬのじゃよ」
神様はなんでもできない。
人の心を推し量れない。自分の力を基準にしてしまうから弱い者の気持ちはわからないのかもしれないものすごくいいこと言うね……。
「そんなに神を盲信しないほうがいいのじゃ。妾からの忠告は以上。さ、ミキ! あっそぶのじゃ!」
ゲームでいうストーリーみたいな?漢字で書きました。邪神ちゃんは神様だからね。こういうこともいうのです。