堕ちた天使ルシファー ③
「あ、ありがとうございました!」
四人は頭を下げる。
ルシファーは凛とした顔で立っている。私はまぁ、通りかかったので助けたまでだし通りかかってなかったら……。偶然だし感謝されることもない。
それに、普通なら獲物を横取りされただとか、そういう問題に発展するし。
「気にしなくていいよ」
「神がこういっておられるのだ」
「偶然だし通りかかんなかったら助けてなかったし……」
四人の子とお話ししてフレンド登録をして帰ることにした。
「あいつらはきちんと神への畏怖の心を持っている。いい信者だ」
信者……なのかな?
私のことはちょっと怖い一プレイヤーとかすごいプレイヤーとしか思われてなさそうだけどね。ただ、そう勘違いしてくれるなら面倒ごとにはならないしいいでしょ。
「……で、さっきから固まってない? チリン達」
背後で固まっているチリン達に声をかけた。マーヤたちはまだ動物のままであるからして。
「い、いや。ミキ……。なんで権化仲間にしちゃうの……?」
「これはきっと、運営も意図してないだろうね」
「AIの暴走……?」
「仲間にするにはなにか条件があるんでしょ。ルシファーの場合はただ神であればいいとかさ」
神に天使は仕える。
だから仲間になったのだろう。天使という自覚があり、神に恨みがないという条件ならばきっと達成は容易。
「……ミキに何言っても無駄か」
「歩くイベントだね」
「もう私たちの想像をはるかに超えるよね……」
と言われましても好きで起こしてませんからソゥ様。
掲示板を見てみるとそれはそれは。荒れている。
話題は大罪の権化について。一人が暴食と接触したらしく戦ったけど無残に負けたということ。そして耳寄りの情報があり、強さが違うということだ。
一番弱いのは色欲。その次に意外と憤怒らしい。
で、一番強いのはと言うと……。
「私が強いのは当たり前でしょう」
と目の前にいるルシファーだったりする。
いや、わかるんだけど……。なんか、ね。
「それよりミキ様は素晴らしいですね! この自然あふれる部屋は! ゆったりと湖畔で過ごすミキ様を想像すると……! 私ルシファーは感激でございます!」
ルシファーの忠誠心がやばい。
嘘は言ってなさそうな笑顔だ。これで騙されているのなら本当にすごいと思う。いくらインターネットとはいえさ、こういうのはリアルだからね。NPCの表情は結構多彩だったりする。
「……さてと」
「お供いたします」
どっか行こうと思ったらわかったのか立ち上がりついてくる。
まぁいいんだけどさ。これから向かうのは獣の国。レベル上げをしたいから。ただ、ルシファーももれなくついてくるし経験値とかどうなるかな……。