堕ちた天使ルシファー ①
俺は今、逃げていた。NPCであるアルテナ教の敬虔なる信者、ヨゼルと一緒に。
「あの悪魔は我が教会で封印していたはずの……! 逃げてください……! 私たちでは、あのような悪魔には到底かないませぬ!」
何かのはずみで封印が解かれたのだろう。
悪魔が俺たちを襲う。
「憤怒の権化、大魔王サタン様が暴れだしました!」
それは、不意にアナウンスとしてやってきた。
《警報、警報。エリア内に大罪の権化たる悪魔が解放されました。出会いがしらにご注意ください》
大罪の権化? なんだそれは。
キツネ姿のまま、大罪の権化について考察してみることにした。大罪っていったらまず思い浮かぶのは七つの大罪でしょ?
傲慢、憤怒、強欲、嫉妬、暴食、怠惰、色欲。それぞれ悪魔がいる。
傲慢はルシファー。
憤怒はサタン。
強欲はマモン。
嫉妬はレヴィアタン。
暴食はベルゼブブ。
怠惰はベルフェゴール。
色欲はアスモデウス。
なるほど。これらに気を付けろっていうことかな?
まぁ、そう簡単にエンカウントするわけじゃないし……。
《警報、警報。何者かが接近してきます。ご注意を!》
「「「「「「は?」」」」」」
すると、土ぼこりを上げて私たちの隣になにかが着地してきた。
ずんずんと黒い影が近づいてくる。そして、私の首を掴んだのだった。なにこれ。何この状況。
「ふぅん。神の気配がしてみれば……。こいつが神だと言うのか」
「えっと?」
「……私は堕ちた身だが、神への忠誠心は捨てておらぬ。こいつが神だというならば……」
すると地面に私を置いて、目の前の影は傅いた。
「このルシファーの身は、貴方様に捧げます。神よ」
というのだった。
……るし、ふぁー?
え、えっと、傲慢……。
七つの大罪……。
「大罪の権化!?」
「……無礼な。私に向かってその口調は! 切り伏せて……!」
「まぁまぁまぁまぁ! ルシファー、この人たちは私たちの仲間だし気にしないでいいよ」
「神がそういうのであれば」
あっぶない……。この人私以外見境ないのか……!
そして、その時だった。私の体が急に光はじめる。光が止むと元の体に戻っているのだった。時間経過で戻るんだったのね。
「……それが神の本来のお姿……! なんと神々しい……!」
涙を流すほど感動するんですか?
「わかる。神々しいよねミキ」
「神様の風格が備わってるっていうか」
「わかるか! 私の眼に狂いはない! 素晴らしき神だ! ああ、この神にお仕えできる喜びと言えば …! たまらぬ……!」
《堕天使ルシファーが仲間になりました》
いや、ほんと。何だよこの状況は……!
本日これだけ