キツネこんこん ③
ソゥ様に撫でられ、そのままついていくことにした。
ソゥが向かったのは路地裏。そして、なにやら懐から取り出したものがあった。ポーションとかそういうやつかな? でも街中で使うかな……。
「これ、いろいろ作ってたらできたんだよ。動物変化薬」
え?
「これ飲んで私もミキちゃんと同じようになりたいなーって……。結構数作っちゃったし消費しないといけないし……」
といってぐいっと飲み干すソゥ。
すると、ソゥが光りだした。そして、光が止むとそこにはポメラニアンがいた。犬? ソゥが犬になった!? 可愛い!
「どう? 可愛い、かな?」
「最高です!」
犬飼いたい! ポメラニアン飼いたい!
私は今、猛烈に興奮している! 猫派だったんだけど犬派になります! ソゥ様が犬になるのなら私はソゥ様の忠犬にでもなりましょう!
「……キツネ? 犬?」
声がしたのでそちらを振り返ると、マーヤが冷たい目で見降ろしていた。
ちょっと怖かったのは気のせいだ。
「…………」
な、なんで喋らないの? 苦手とか?
「……油揚げ、いる?」
「???」
「ごめん。キツネっていったら油揚げだから……」
と、頭撫でながら照れていた。
私の頭とソゥの頭交互に撫でていく。マーヤ撫でるの滅茶苦茶うまい……! こりゃ懐くわ。やべえ、快感すぎるぞ……。
「君の名前は今日からハイドだ」
「えっ」
「……喋った?」
ソゥ様が声を漏らした。
マーヤは一気に警戒態勢に入る。
「喋る犬……?」
「ご、ごめん。マーヤ。私だよ」
「……この声は、真野ちゃん……」
「そ、そう。私の薬で動物になってるんだ……。そ、その。なんか、ごめんね?」
「い、いいの。ただ、さっき見たのは忘れてもらえると……嬉しい、です」
ごめんなさい。可愛いものだから記憶に焼きつけちゃった。
「隣のキツネはミキちゃんだよ。驚かせるようでごめんね」
「……そう」
「よかったらマーヤもなってみる? 私の薬ならまだ余るほどあるし」
といって地面に瓶が置かれる。
それをマーヤは手に取りぐいっと飲み干した。やるなぁ……。マーヤが光だし、光が止むと猫がいた。マーヤは猫なんだ……。
クールだけど案外寂しがり屋……なの?
「ふぅん。すごい。本当になれるんだ」
「そうでしょー? この薬はその人のイメージの動物になるからね。マーヤは猫のイメージなんだ」
「……やめてよ」
「可愛いっ」
「や、やめてって……」
照れてものすごく可愛い。
「この三人で歩こうよ」
「う、うん」
「よろこんでー!」
「居酒屋……?」
真野ちゃんが行くなら世界中どこまでもついていきます。
私は真野ちゃんのためならこの身がどうなろうが知りませんから! 真野ちゃんにならこの命すら差し出せますよぉ!