キツネこんこん ①
熊さんが治める縄張りは街もきちんと整備されている。放浪はしない人が多いそうなのできちんとした家を建て、居住しているという。
この寒い外に比べ中はものすごく暖かいらしい。
「そういえば獣の国の海底には……」
竜宮がある。
地図を見てみると海は確かにあるけど……ここから遠いな。犬ぞりでも借りていったほうがいいレベルだ。犬ぞりレンタルできるということだし一度レンタルして遊んでみるかな。
「さぶいのぉ……。精霊神ちょっと火を……」
「……なんでいるの?」
私の隣にひょっこりと邪神ちゃんがいた。
「これから獣の国を攻め込もうと思っての。その下見じゃ!」
「攻め込む?」
「このケモミミには妾も見惚れるのじゃ! ぜひ部下にほしい!」
この邪神ちゃんもケモミミ魔力には勝てないのか……。
「あ、そうじゃ。妾新しい魔法を開発したのじゃ! まだ試運転してないし、精霊神で試してもいいかの? 報酬は払うのじゃ!」
《クエスト:邪神ちゃんのまほー を受けますか?》
唐突のクエスト。
いや、まあ、それくらいならいいんだけどさ。
「ふふふ、ウサギの国で獣のすばらしさを学んだのじゃ。妾の一押しの動物に変化させるのじゃー! えいっ!」
と、煙を巻き上げて私の体が変わっていく。
……。この尻尾。この頭。この動物ってもしかしてさ……。
「キツネ?」
「そうじゃ! 今の妾の一押しの動物! 可愛いのじゃぁ……」
と、私の頭を撫でる。
本当にキツネだ……。神ってなんでもありだな。こういう魔法創るって結構大変そうだけど。私もどうやったら相手を変身させられるのかいまだにわかんないし。
「で、解除してくれるんですよね?」
「…………」
「なんで目をそらす?」
もしかして解除できないとか?
「……初めて人に使ったから、解除の仕方わかんない」
「……ナニシテンノ?」
思わず真顔でそうつっこんでしまった……。
えっ、じゃあこのまま? キツネのままでプレイしろってか! いや、毛皮のおかげで寒くはないんだけどね? でもキツネ……。四足歩行慣れないんだって。猫然り。
「か、可愛いからいいじゃろ!」
「可愛いからってなんでも許されるわけじゃないよ……」
「むぅぅ! 妾も探すからしばらくそのままですごすのじゃー!」
といって邪神ちゃんが消えてしまった。
と言われてもな。このキツネの姿。わかってくれるかな? さっきまで一緒だったギルメンは買い物とかでいないし……。
それに、野生のキツネだからって駆除されたりしない? エキノコックスとか大丈夫?
ゲームだから大丈夫かな?
雪にキツネっていうのはマッチしてるけど……。
猫、ウサギ、キツネ。ミキちゃん動物になりすぎ。
単なる豪運なだけだけど。