熊さんの街
探索して分かったことは。
「この街以外にも町があるんだね」
「その街と対立関係か」
どうやら獣人の中で二つの派閥があるらしい。
私たちがいるところが熊王ベアンの派閥。もう一つが狼王ウルフェンの派閥。対立していて睨みあっていま均衡状態というところらしい。
派閥争いか……。それって面倒だよね。
「……もう解放してあげたら?」
私はエルルゥとルルークを見てそう告げた。
腕の中にはぐったりとしたさきほどの男の子と女の子。撫でられ疲れたらしい。抵抗する気力もなくなったのかぐったりとしている。
エルルゥとルルークがこんなにまで追いつめるとは恐ろしいな。
「プレイヤーはどっちにつくのも自由らしいけど、どっちかの派閥に着いたら片方の街では買い物できないとかそもそもは入れないっていうらしいからな」
「どっちにつくか悩みものだよね」
情報によると、狼王の街は武器が強く、熊王のほうは防具が豊富らしい。防具メインでやるか武器メインでやるかに分かれそうだ。
もちろんどっちにも武器防具はあるけど品質が段違いらしい。
で、街に入ると必ずどっちにつくか決めなくちゃならないらしい。自由だけどどちらかに入る。
「うーん……」
この中には武器を新調したい人もいるだろうし、防具が心もとないっていう人もいる。多数決を取るかな。
「どっちがいいか多数決」
結果。熊さん。
「うん。君たちがこっちについてくれるなら安心かな。おおかみさんのほうはどうもけんかっ早くてねえ。ぼくも縄張りを守るんだよね」
目の前にはクマ耳をした女の人。ベアンと名乗ったので多分熊王さんだ。
熊王さんはまさかの僕っ娘。
「ほんとは喧嘩なんかしないほうがいいんだけど、縄張りはきちんと守りたいのが僕なんだよね。ほら、人間さんにも自分のパーソナルスペースってあるでしょ? それ」
ああ、あれね。
「おおかみさんは侵略してくるからねぇ……。持ち込まれる武器にもいろんな罠があるし、君たちにも制限を課させてもらうよ。狼さんの武器は持ってこないってこと。持ってきたら塀の前で没収だからね」
ということを言われるのだった。
もちろん武器は持ち込まない。というか、自前にすごい鍛冶師いるしそこまでというほどでもない。問題は防具。
裁縫士がいるってことが大きいかな。
「それだけ守ってもらえたらゆーっくりしていいよぉ~。僕の街を楽しんでってねぇ~」
クマさんはほんわかしていてなんだかマスコットみたいだった。めっちゃくちゃ可愛かった。だがしかしソゥ……真野ちゃんには到底及ばないけどね。
もしかしたら明日投稿できない…かも