月下の元で王は喚いて②
ゴブリンキングは遠目から見ても威圧感を放っていた。
ゴブリンの統率を取る。まずは、あの集会を邪魔しない限りダメなんだろうけど、これ、雑魚を倒し続けるのが困難ではないだろうか……。
いや、精霊魔法で範囲攻撃したら行ける可能性があるか。とりあえず、奇襲してみよう。
精霊魔法、炎!
「グギャッ!?」
ゴブリンキングは突然火に囲まれたことを驚いてた。けれども、すぐに冷静さを取り戻し、ゴブリンメイジに水魔法を打たせている。消化しようという魂胆か!
魔法の選択失敗したな! 素直に光使えばよかったんだ! 光は消費MPくっそ多いから使いたくなくてケチったらこれか!
「グギャアアアアア!!」
ゴブリンキングは火を消した後、ゴブリンをこちらに向かわせてきた――!
最初はゴブリン無双しろってことか! うぐぅ、魔法使いにはきつくないか!? MPは無限にあるわけじゃないんだぞ!
ここは三人に頼るしかない!
「エルルゥ! ルルーク! チリン! ゴブリンたちをお願い!」
「任せろお!」
「多いなあ! こりゃ骨が折れるよ!」
「ぜ、前哨戦ってことかな……。よし、頑張ろう」
「私することは?」
「プギーは……エルルゥたちの回復! 数が多いから結構削られると思うから!」
「わかった!」
みんなやることは決まった。
私も、やることはある。というか、私が一番大事な仕事だと思うさ。だって、ゴブリンキングは部下にまかせっきりというわけじゃないでしょ? ほら、今も現に……
「グギャアアアア!」
こちらに突進してきているわけだしね!
私のやることはエルルゥたちに近づけさせないこと! つまりゴブリンキングをエルルゥたちから遠ざけなきゃいけないのだああああ!
ヘイト値を稼ぎつつなら妖精王のプギーのほうがいいんだろうけど、さすがに回復まで任せるのは辛いだろう。私がヘイト値を稼ぎつつ逃げるのみ!
私は一発でも攻撃を受けたらおしまいだと思え。
紙装甲紙耐久なめるなよ! さあ、生と死を分けたデス鬼ごっこの開幕だ!
「お、おーにさんこっちら、こっこまーでおーいで――フラッシュ!」
目つぶしッ! ゴブリンキングは怒った!
短気なやつだなあ! ゴブリンキングは咆え、標的を私に定めたようだ。よろしい。体力には自信ないけどやるだけやるぜえええ!
ただ、闇雲に逃げるだけじゃ必ず捕まるし、ヘイト値が他に逸れるかもしれない!
適当にちょっかいかけつつも逃げる!
作戦名:えいっ、えいっ。怒った? 怒った!だ。
ふつうは怒ってないよって返すけど怒るわけだし怒った?で怒った!だ!
ゴブリンキングは短気なので煽られたら怒ります。キングのくせに器小さいなあ
戦闘描写やっぱりなれませんねえ。いや、今回は鬼ごっこだけど。次回、鬼ごっこです。