ミキちゃん達のお店経営記 ①
私はローイ工房に来ていた。
カティさんとローイさんに呼ばれてきたのはいいんだけどさ。
「おう。来たか」
「待ってたわよ」
「え、なに」
席に座らされる。
何の話させられるんだろう。専属じゃないようにするとか……? そ、それはそれで悲しいけどそうしたいなら……。
「単刀直入に言うが店を構える気はないか?」
「店?」
唐突にそんな話をされる。
店、か。いいなそれ。
「簡潔に言うとミキに店を開いてもらって私たちのモノを販売してほしいのよ」
ということだった。
まぁ、それならいいけど建物どうするんだろう。このギルドだと建物じゃなく自然だから店じゃないし。新しい建物買うとか?
まぁ、金ならあるんだけどさ。
「専属になったのはいいけど弟子も増えていく一方で弟子の仕事がまるでないのよね。だから建ててもらって販売してもらいたいの」
「値段は好きなように決めていいぜ。高くする分品質にはこだわるからなぁ」
ということだった。
ふむ、いいかもしれないな。
ということでぽんと一括で購入。
ガチャで使い切った金。今度は建物でか。結構高かった。プレイヤーズショップが並ぶこの通りでよく物件が残っていたと思う。
まぁ、値段が値段だし買うに踏み切れなかっただけかもしれないけど。
値段気になる?
なんと作業場含めて一千二百万円! お得でしょ? え? ああ、違うって。
「ごめんねチリンたち。いつか返すよ」
私の全財産でも足りなかったので借りた。
でかい建物で設備も充実してる。これが安いわけがなかった。始まりの町で一千万超えるとかダメでしょ。他高くても三百万とかなのに。これだけお金が跳ね上がりすぎ。
「これを買ったのね……」
「どうせなら高いほうがいいかなって。ここしかなかったし……」
他は軒並み売り切れている。
むしろこれしかなかったっていうか。お高い買い物だった……。
「左半分に俺のを並べて右を大きく使って家具とかおいたらどうだ?」
「いいわね。インテリアエリア、武器エリア、防具エリアに分けたらいいんじゃないかしら」
「それ採用だ」
カティさんとローイさんが二人で話している。
売り場についてだ。たしかに分類分けされていたら買いやすいだろうしいいかもな。あとはなんだ? ああ、そうだ。
「質屋も兼ねてみたら?」
「質屋?」
「物とかを買い取るんだよ。カティとローイなら鑑定の才能もありそうだし」
「そうだな。じゃ、武器防具とかは俺が買い取って弓とか杖、ポーションとかはカティな」
「わかったわ」
「いや、ポーションは私が買い取るよ」
そう立候補したのはソゥ。
ソゥ様は錬金術師だったね。なら、ソゥの売り場もあったほうがいいかな。
「ローイさん。カティさん。私が作った薬も売りたいからちょっとだけ売り場分けてくれませんか?」
「おう。いいぞ」
「薬まで売るとか何でも屋ねぇ。デパートみたいなもの……。あ、そういえば店の名前どうするのかしら。決まってるの?」
あ、店の名前かぁ。 そうだなぁ……。
「キヨスク?」
「ここ駅の中じゃないわよ」
「冗談だよ……。うーん、なら普通に”神の御心”とかじゃ」
ちょっとかっこいい単語並べただけだけど。
「ま、いいわよ」
「かっけえな」
店名”神の御心”
ダサいかな? まあ、それはそれとして。開店準備しましょうか。